陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド」(前編)

2010-04-05 | 映画──ファンタジー・コメディ
2007年のアメリカ映画「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド」(原題 : PIRATES OF THE CARIBBEAN: AT WORLD'S END)は、言わずもがな「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」からはじまるシーリズの三作目にして完結編。

二作目「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」で、世界の果てに流されたジャック・スパロウを救出すべくエリザベスたちが新たな冒険に出るお話。

地上波初ノーカット放送のため、二週に分けての前後編放映でしたので、今回も尻切れとんぼなとこで幕切れになっているのはやむをえないのですが。
なんというか、初作の良さがどんどん、どんどん失われていってしまっている気がします。

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あらすじ。
ジャックを救出するため旧敵バルボッサと手を組んだエリザベスたち。デイヴィ・ジョーンズの心臓を入手した、東インド会社提督ベケット卿は海賊団を取り締まっていた。海賊撲滅の動きに抗すべく、バルボッサは「選ばれし九人の海賊」による評議会を開こうとする。その九人のひとりがジャックだった。
ジャックの陥った世界の果てを示す海図をもつ、シンガポールの中国人海賊王サオ・フェンのアジトを訪問(というか襲撃といったほうが正しい)。
しかし、ベケット卿たちの奇襲に遭って集散。フェンの幹部とともに、バルボッサ率いる乗員は世界の果てに向かい…。

しょっぱなから、舞台が東南アジアの鬱蒼とした湿地帯。
アジアン・フィルムノワールの様相を呈し、初作にあったイギリス海賊らしい高貴さと野卑さの奇妙な併存がみられません。しかも、エリザベスはなんでベトナム人じゃあるまいしアオザイを着てるんだか。
そして、世界の果てに囚われていたジャックのいたのは、塩砂漠の無人島。ひとりで孤島に置き去りにされるというのももうパターン化したので飽きますね。石のカニ軍団が登場する場面はかなりシュールなんですが、あのジャックのドッペルゲンガーや小人がわらわら発生するのはどうなんだろう。

色調が二作より進んでさらにどす暗く、人物が多すぎて、いったい誰がどう動いているのか掴むのに難儀します。
そもそも、前回の誤解も解けたというのにエリザベスとウィルは仲直りしないし、エリザベスはもと婚約者のノリントン卿や、サオ・フェンにまで色めくシーンがあったり。

湿った糸が絡み合ったようなこのもやもやが、後編でさらりとほどけていくとよろしいのですが。

レギュラーの登場人物、監督ともに前作とおなじ。
初登場のチョウ・ユンファは、「グリーン・ディスティニー」の主演で知られる中国人俳優。しかし、アジアが舞台で金髪美女のロマンスとなると、ジョディ・フォスターが主演した「アンナと王様」を思い浮かべます。

今回活躍の多いバルボッサに扮するジェフリー・ラッシュは、最近観た「エリザベス」という映画では、温厚そうな女王の腹心を演じていたので、ギャップがかなりありました(笑)

ジャックとバルボッサが対抗心燃やして、望遠鏡の長さを誇りあっているシーンは笑えますね。
キーラ・ナイトレイ演じるエリザベスは、シリーズ重ねるごとに性格が酷くなっている気がします…。あの口を台形に開いて啖呵を切る喋り方、なんとかならんものかな。

(2010年4月4日)

パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド(2007) - goo 映画


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