Malapasqua島とその周辺のダイビングは、何と言ってもオナガザメ Thresher Shark の観察が中心で、Monad Shoalのシンジュアナゴ群生も見事なものだけれど、訪れるダイバーが今一つ興味を示さないからガイドさんもさら~っと紹介するだけで、もったいない話だ。周辺のサンゴ礁やガレ場でもコブシメやカエルアンコウ、ニシキフウライウオ、チョウチョウコショウダイの幼魚などの大き目の人気者は積極的にゲストに紹介してくれるけれど、体長10cm未満、さらには5cm未満の小さなサカナは自分で探してみつけるしかない。今回のツアーでは、その辺りの事前の準備が不十分だったと思う。
■ コブシメ - Gato Island
■ コブシメ - Lapus-Lapus
■ シンジュアナゴ Whitespotted Garden Eel, Gorgasia maculata- Monad Shoal
水深20mの広く平坦な砂地にシンジュアナゴの大群落! 八丈島の群落よりは規模は小さいですが、群生の密度は匹敵します。しかしリブリーザーを使っていても彼らは容易に近付いて撮影させてくれません。ならば、とGoPro類似の4Kアクションカメラを小型三脚で置きカメラ動画撮影。
■ ニシキアナゴ Splendid Garden Eel, Gorgasia preclata- Monad shoal
一方、近くにはニシキアナゴも群生していました。シンジュアナゴほど密生しませんが、こちらは小さな岩陰や窪みに身を隠すなど工夫すると、何とかストロボ光が届く距離で撮影出来ます。
■ ベンテンコモンエビ, Urocaridella sp. - Monad Shoal
体の赤い斑点が小さいんですよねー。ソリハシコモンエビかなー?
■ Threadfin Anthias, Pseudoanthias huchtii
これは浅場のサンゴ周辺にいっぱいいます。差し詰めフィリピン版のキンギョハナダイ。派手派手です。
■ シロオビイソハゼ Blackbelly Dwarfgoby, Eviota atriventris
水深5mから20mくらいまでがれ場やサンゴの周りによく見かけます。一瞬「ナデシコイソハゼ?」と思いましたが、腹部の白い縦帯が特徴的。
■ Convict Blenny, Pholidichthys leucotaenia - Gato Island
これも日本では見られませんが、フィリピンでは普通みたい。私は初めて見ました。
■ メガネベニハゼ Ring-eye Dwarfgoby, Trimma benjamini
■ ダテハゼ属 , Amblyeleotris sp.
背びれ、腹びれの赤い外縁がきれいだけれど、ダテハゼかなー。種名不詳。
■ コジカイソハゼ Transparent Dwarfgoby, Evioa pellucida かな?
■ McCosker's Flasher Wrasse, Paracheilinus mccoskeri かな?
イトヒキベラ属の幼魚みたいですが、まだ小さいのか、単独でいました。
■ スケロクウミタケハゼ Soft-Coral Ghostgoby, Pleurosicya boldinghi
■ ホシクズベニハゼ Red-earth pygmygoby, Trimma milta
■ タテジマヘビギンポ Tropical striped triplefin, Helcogramma striata
これは日本でもよく見られる普通種。
■ ガラスハゼ属の一種 , Bryaninops sp.
通常のガラスハゼより体高が高いような気がする。何か食べたのかな?
■ ヤマブキハゼ Spotted Prawngoby, Amblyeleotris guttata
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今回のMalapasqua島ツアーブログの締めくくりに、現地でのTechダイブ事情をレポートしておきましょう。
まず、Cebu島の他所と同様にダイブショップでのEAN32の入手は容易です。ほぼすべてのダイブショップでEAN32のタンクを供給していて、私がお世話になったThresher Shark Diversでは一本々々各ダイバーの目の前で酸素濃度を測定して、自身で確認させていました。使用するタンクは、12Lのアルミタンクが標準でした。
一方、リブリーザーとなるとサポート態勢はほぼ皆無でした。私が使用するPoseidon SE7ENには酸素と希釈ガス(空気)にそれぞれ3Lシリンダーが丁度良く適合するのですが、まずそのサイズのシリンダーがありませんでした。渡航前にダイブショップのオーナーさんといろいろ相談した結果、ここのオーナーさんは今回の私のために3Lアルミタンクを2本新調して対応してくれました。リブリーザー・ダイブにはバックアップ用にもう一本緊急用シリンダーを携行するのですが、これにはAL40サイズの5.7Lアルミシリンダーをレンタル出来ました。願わくば緊急用にも3Lタンクがあれば十分なのですが贅沢は言っていられないので、少々大きくて邪魔ですがこれで何とか器材は全部揃いました。ただし、酸素シリンダーはフル充填で95barくらいまでしか充填してくれませんでした。ブースター設備はなくて、親瓶からの移充填だけなのでしょう。この充填圧だと2ダイブ使用後は30bar以下くらいまで減ってしまうので、3ダイブ目は使えません。替えの酸素シリンダーはなく、バンカーボートでの一日ツアーでは補充填も出来ないので、3ダイブ目はEAN32によるSCUBA装備に切り替えることとし、そのためにBCDもレンタルしました。レギュレーターはリブリーザーでの緊急用シリンダーから転用しますが、このために緊急用シリンダーではオクトパスのみを接続していて、メインのセカンドステージとBCD用中圧ホースはワンタッチで脱着可能にしてあります。
ソフト面でもリブリーザーのサポート態勢は十分とは言えません。ガイドさんはリブリーザーの使用経験はなく、当然緊急時のレスキュー手順も知りません。それでも、ダイブショップとしては一番経験豊富でスキルの高いガイドさんを初日に私に当たらせてくれたようなので、私は彼に最小限のリブリーザーの緊急手順を事前に説明して、以後滞在中はプライベートガイドとしてずっとガイドしてもらうことにしました。おかげで、Thresher Sharkダイブの時にも私一人だけ他のSCUBAダイバーグループから離れてリーフエッジのベスポジでサメ待ちしたり、彼にGoProライクのアクションカメラを渡して私自身のサメ動画を撮ってもらったりと、好き勝手、やりたい放題楽しむことも出来ました。
最後にメンテナンスの面では、やはり真水の制約は懸念材料です。リブリーザーは本来は毎日の使用後には全部バラして、衛生上の観点から呼吸ループの内部を真水で洗浄と逆性石鹸で消毒が推奨されるのですが、現地では貴重な真水を大量に消費してしまいます。結局私は6日間の途中での内部洗浄と消毒は省略して、最終日の終了後に真水で洗浄後、帰国後に自宅でもういちど徹底的に洗浄と消毒を行いました。