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Rebreather トレーニング(後編)

2020-07-09 07:43:59 | SCUBA diving

伊豆大島へ、PADIのRebreather Open Water Diverトレーニングコースを受講に来ました。

前編では初めて見て触るリブリーザー器材の紹介と、学科講習、実技講習の前半をご紹介しました。後編では、トレーニング3日目からの実技講習の様子をご紹介します。

 

■トレーニングダイブ3本目
 
 まず一番最初の器材組み立て手順から始めます。2回目なので、前回習得した自分の知識だけでほぼすべて組み立てることが出来ました。
 
 そして、今回のトレーニングではRebreather Advanced Open Water Diverの課題の一部として、オフボード器材を一緒に携行して使用します。オフボード器材とは、リブリーザー本体一式とは別に5L、200気圧充填の希釈ガス(=空気)のタンクと、そこに接続したSCUBA用と同じレギュレーターの1stと2ndステージ、小型の残圧計のセットです。腰に吊り下げて携行するので、ハーネスやBCDは使いません。今回使用しているリブリーザー器材では酸素と希釈ガス(=空気)の2種類の高圧ガスシリンダーを背負って潜ることはすでに説明しましたが、オフボード器材はこのうち希釈ガスを補充するものです。リブリーザーダイビングでは酸素は潜水中に体内で消費した分だけ補充するのに使用されるので、その使用量は潜水深度に関わらず、酸素シリンダーの残圧はあまり減らないんです。その一方で、希釈ガス(=空気)の方はいくつかの目的のために結構使用量がかさむんです。
 
(1)一番基本的には、呼吸する酸素を薄めることです。呼吸で吸い込むガスに含まれる酸素の分圧は、酸素中毒を防ぐために決して1.2気圧を超えてはいけません。一例として水深20mでは水圧が3気圧になりますから、もしも100%酸素を呼吸して潜ったら酸素分圧も3気圧となり、酸素中毒で痙攣を起こして溺れてしまいます。そのため希釈ガスを加えて酸素が40%以下になるように混ぜるんです。そうすると酸素分圧は水深20mでも1.2気圧に保たれて、安全に潜水できます。もっと深く潜る場合は、もっと薄める必要があります。
 
(2)レジャーダイビングでは、潜水中は必ずしも一定の水深に滞在するわけではなく、泳いで移動するのに伴ってある程度の浮上と潜降を繰り返します。潜降するときは(1)で説明したように呼吸する酸素を薄めるために希釈ガスを加えますが、浮上するときは呼吸回路のガスが膨張して浮力が付き過ぎてしまったり、カウンターラングがオーバーフローしてしまうので、鼻から息を吐きだして呼吸回路のガスを捨てる必要があります。希釈ガスは潜水中に体内で消費されることはなく、こうして移動中の深度変化に応じた浮上の際に捨てられてしまいます。
 
(3)呼吸とは関係なく、浮力を調整するためにBCDとドライスーツを膨らませる目的でも使用します。
 
(4)潜水中にリブリーザーの器材に何らかのトラブルが発生した場合には、兎にも角にも呼吸回路を使っての呼吸をやめて、SCUBAと同じように希釈ガスだけを吸って呼吸を続けて安全に水面まで浮上する必要があります。
 
(5)潜水中に何らかの理由でバディにエアを提供する必要が起きた場合には、SCUBAと同じようにオクトバスレギュレータを使って希釈ガスを提供して安全に水面まで浮上する必要があります。
 
 200気圧充填の3Lタンクで希釈ガス(=空気)を背負っていけば、最大水深18mまでのレジャーダイビングなら潜水時間3時間くらいまで十分な量となります。(4)(5)のような緊急事態への対処も可能です。しかしもっと深く潜る場合には、酸素を薄めたり浮力調整に使う量が増大するばかりでなく、(4)(5)のような緊急事態に備えるためはるかに多くの希釈ガスを用意しておく必要が出て来ます。このため背中に背負った3Lの希釈ガスだけでは不足気味なので、別に5Lタンクを携行することになるのです。
 
 ・・・とPADIのAdvanced Open Water Rebreather Diverの教材の通りに長々と説明してきたので、オフボード器材の重要性はよ~~く理解できたのですが、いざそれを携えて海へ飛び込んでみると、やはりどうにも重くて邪魔で不自由なんです。水中ではほぼ中性浮力になるとはいえ、腰に吊り下げているだけなので泳ぐ時にはバランス悪く負担です。まぁ文句を並べても仕方ないので、水中でオフボードのレギュレータと交換して呼吸したり、水中でオフボード器材自体を取り外してバディと交換したり、といった基本スキルを練習しました。
 
 
エクジットして梯子を登るときが最後の地獄(・・・なんと大げさな!)
オフボード器材が14Lタンクくらいの重さに感じられました。
 
■トレーニングダイブ4本目
 
 昼食休憩を挟んで、この日続けてもう一本トレーニングに潜りました。今回も両シリンダーの残量、炭酸ガス吸収剤の有効時間とも前回から十分に残っているので、準備作業は大幅に短縮出来ます。今度はオフボード器材も使わずに身軽~♬♪ そこで初めてリブリーザーで水中カメラも一緒に持って潜りました。
 
 トレーニングダイブとして、エントリーしたらまず基本的な水中スキルの練習に加えて、リブリーザーを使用しているバディが水中で意識を失った場合を想定してバディを安全に水面に引き上げる手順を練習しました。手順はSCUBAでの救助の手順と大差はないのですが、自分の器材、バディの器材ともリブリーザー装備で浮力を調節するためのバルブ類が増えているので、その分だけ複雑になります。
 
 水中スキルの練習が終わったら、あとはリブリーザー器材の使用に慣れることを目的に、もうすっかり自分の庭のように慣れ親しんだ秋の浜の海中を一回り泳いできました。泳いでいても排気の泡を放出しないで静かなため、周囲のサカナたちもいつものSCUBAの時より逃げません。産卵の季節になったヤマブキベラは、ダイバーの私をまるで気にする様子もなく、すぐ目の前でメスの周りに何匹ものオスが追い回してメスの産卵を促しています。イソギンチャクを棲み処とするクマノミは、近付くダイバーの私を怖がらないどころか追い払おうと攻撃してきます。砂地に住むハゼ類も普段はダイバーが近づくとすぐに巣穴に引っ込みますが、やはり泡を出さないリブリーザーだと近くまで近寄れます。
 
 
 これでOpen Water Rebreather Diverの実技講習のすべての課題を修了です。
あ~~、楽しかった~
 
・・・って自己満足に浸りながらクラブハウスに戻り、後片付けを済ませたところで、最後のハードルが待っていました。
 
 
■ 学科試験
 
 75問の学科試験です。
回答はすべて選択式なのですが、あちこちに引っ掛け問題も仕込まれており、SCUBAのオープンウォーターコースの学科試験のように鼻歌交じりで、という訳には行きません。結構苦戦した挙句なんとか8問の誤答で収まり、辛くも合格することが出来ました👏👏
 

 

■トレーニングダイブ5本目

 大島での滞在日程の最終日は、13:55発の高速船に乗って帰宅する予定です。そこで午前中に潜る時間があるので、継続してAdvanced Open Water Rebreather Diverコースへ向けてもう一本トレーニングダイブの予定を入れました。

 

 このトレーニングダイブでは特に新しく練習する水中での課題はなく、これまで習得したスキルを復習してリブリーザーダイビングに馴れることを目的として、準備を進めました。クラブハウスで器材のセットアップを済ませ、カメラも万端準備し、秋の浜へ向かいました。海岸に着いてウェットスーツを着込み、いよいよ器材を装着する直前のプレダイブ安全チェックの手順を進めている途中、ディスプレイコンソールがエラーを表示して中断されました。

 今回は自分の操作ミスはなし。コンピュータのバッテリーを一旦抜いてリセットし、もう一度最初からプレダイブチェック手順をやり直し。 ・・・また同じ段階で同じエラーで中断。

 さらに何回かトライするも解決出来ず。問題の原因はこれ以上現地でチェックして修理出来る範囲を超えており、器材の正常動作が確認出来ない以上今日はこの器材でのダイビングは出来ません。残念ながら「器材トラブルのため今日のダイビングは中止」の判断を下しました。複雑なメカと電子回路で構成された器材を使用する以上、これもリブリーザーダイビングでは避けて通れないハプニングでしょう。早々にクラブハウスに戻って器材を片付けて、今回のトレーニングツアーを終了しました。


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