トップリーグ開幕でもなんでやねん

　先日、ラグビーのトップリーグが開幕した。結果については、ネットでチェックしたが、映像が見たくて某国営放送局のスポーツ番組をチェックしていた。しかし待てども待てども、ラグビーのラの字もでることなく放送が終了した。「どないなっとんねん」と、国営放送の方角にツッコンでから寝たが、ラグビー人気の凋落には、経験者の私としては胸を痛めている。

　人気が落ちた原因は、やはりサッカーと比較してプロ化の遅れと組織改革の遅れと、それに伴う競技人口の減少が大きい。ようやく社会人チームがトップリーグを立ち上げて数年経つが、学生は未だに無駄な試合がたくさん組まれている。関東では関東学院・法政を中心とするリーグ戦グループと早・慶・明を中心とする対抗戦グループがある。シーズン初めは上位校と下位校が８０点近い差のゲームをまじめに戦っている。学生諸君には申し訳ないが、はっきり行ってミスマッチである。やってる本人もおそらくつまんない。学生ラグビーも社会人のように、実力の均衡するチームの対戦が増えるようなシステムを導入する必要があるように思う。

　けれども、ラグビーがすばらしいスポーツであることに、変わりはない。格闘技のように激しさがあり、ボールゲームのスキルがあり、戦術・戦略などの組織力など様々な要素があって見ていて楽しめると思う。そしてもっともすばらしい点は、しんどいこと、痛いこと、辛いことに立ち向かう精神力、トップスピードで走ってくる相手にタックルする勇気と責任感、ノーサイドの笛が鳴れば、敵と味方なく健闘をたたえる精神などのスピリットの部分である。

　多くのスポーツでは、勝ってうれしくて泣き、負けて悔しくて泣く光景を見ることがあると思う。ラグビーだけだと思うが、試合をする前に選手たちが泣いている。試合に出場できる喜び、出場できないチームメートや指導者への思い、チームを代表する責任感、様々な感情が高ぶり涙を流してグランドに飛び出していく。スポーツは試合〈本番）よりもはるかに練習〈準備）に時間をかけるものである。ラグビー選手の流す試合前の涙はそんな、長くつらい準備期間を我々に少し共有させてくれる。ワセリンを塗った目尻に伝う涙の感覚を知らないラグビー未経験の方も、あの涙をみれば、ラグビーの魅力に気づいてくれるはずだと信じている。