先週、運命(destiny)について少し話していました。
説明と論証は省きますが、運命予定説は信じていません。
なので、シェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」も運命に翻弄される若い男女の恋という見方ではなく、ジュリエット・キャピュレットという女の子が成長し自立して自分で人生を選択して行く物語として捉えています。
実は、稽古がついこないだから始まっていて、またまたW.サローヤンの再演をしようと思っています。
プロデューサーズボイスに先駆けて、告知しておきます。
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演劇ユニットYOU企画2010年度秋公演「from Hello Out There(仮)」
日程:2010年9月9-12日(木ー日)
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なんで、from がついているかというと、ジュリエットのような脚色になりうるからです。
結局創り手、特に演出家が読む読み方がそのまま物語になっていくので。
これまで二回の再演は、基本的に戯曲にセリフとしては忠実に作りましたが今回それも少し外してみて、フラットに作りたいな、と思っています。
今回はちょっと冒険してみたいのです。
まあ、そもそも僕が冒険好き(帰り道は常に違うところを攻めてみたい)なのもありますが、今回は初めて10歳も年下の俳優さんと作るからです。
YOU企画では僕は年上の俳優さんと一緒に創ることが圧倒的に多かったのです。
演出家ってすごい権力だし、意見を言ってもらうには年齢差があるほうがよいし、僕も鍛えられると思ってでした。
劇団員の山本さんは12歳上でした。
今回は、20歳の女優さんと22歳の男優さんとやるのです。
年は妹から数えた方が早い・・・。
まあ、そもそも若い男と少女の話なんで、ぴったりなんですけど。
10年やったからこそ、こういうことが出来るようになったということもいえます。
だって、10年前は二人は小学校6年生と4年生・・・とかなんで、一緒に創ろうにも・・・学校あるじゃん、みたいな。
ええー、予想通り話が飛びました。
通常、稽古の始めの本読みでは、演出家や作家の意図が話されます。
そこがそのお芝居での目的(地)つまりDestinationとなるわけです。
でもYOU企画では、稽古の最初はイギリスで言うテーブルトークから始まります。
戯曲の解釈などについてあーだこーだ言うのです。
今回、僕は一つの解釈というか可能性を試して見たいのですが、若い二人がどんな反応とどんな戯曲の読み方をしてくるかで、それも変えてもいいと思っています。
結局のところ、演劇の稽古って実験なんで、どうしても分からないところはたち稽古しだすまで分からなかったり、通し稽古するまで分からなかったりもします。
でも、このテーブルトークで三人の統一見解となるこのお芝居の目的地を思いに描いてみたいと思います。
やはり、ここが見えないと俳優さんも不安になりますし、地図もコンパスもない船に乗るみたいなもんですから。
また、役作りの面でも、通常戯曲を読むときに、この役のこのシーンでの目的、人生における目的、などを考えていきます。
それを掴むととても演技がしやすくなっていきますし、シーンが動いていきます。
そういうことを掴んでもらう、あるいは三人で掴むのもこのテーブルトークの役目です。
あ、あともう一つの具体的なDestinationであるお芝居のラストシーンを今回はテーブルトークを経て決めてしまおうかと思っています。
いつもラストシーンに迷うし、実際お芝居はどう終わらせるかが難しいのです。
ある日常の時空間を切り取ってきて、観客に見せているので、いつまででも本来は続いていってしまうのです。
だから今回は最初から作っておいて、そこに到達するように創ってみようかと思っています。
つじつまを合わせる作業は大好きですし、スターウオーズの新三部作の何が好きかって、あの壮大なるつじつま合わせですよ。
と、いうことで今回は目的地でした。
で、終わればいいんですが「そういえばこの時期WSDに去年は通っていたなあ」ということで、思い出したことがあります。
演劇ワークショップと他のワークショップの大きな違いは、この目的地が決まっているということだと気づいたのです。
つまり「演劇を創る」という目的が定まっているので、僕もナビゲーター(案内人)と名乗れます。
でも他の多くのワークショップはファシリテーター(促進役)で、こちらは協会まであります。
これは他のワークショップが話し合ったり、アイデアを出したり、いろんな問題解決型が多いということなのかな、と思ったりします。
あるいは、何かの状況を体験するとか。
あ、でもこれはけっこう演劇っぽいか。
でも目的地が定まっているというところは、演劇ワークショップのいいところであり、他のワークショップとの決定的な違いだろうな、と思います。
この点も、また考察をしていきたいと思います。
ついでですが、今発掘の手伝いに行っていて、大分スコップとか鋤簾とかの扱いは巧くなったのですけれども、正直最後に仕上げとして地表をなだらかにする、その最終形態が分かりません。
どこまでやればいいのか。
こういうの、結構苦手です。
destiny(運命)は嫌いですが、destination(目的地)は分かっていた方がいい。
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