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H:Harmony

H:Harmony

ハーモニー、これも日本語化していますね。
「調和」です。

確かに楽譜で出てくる和音の響きを聞いていると本当に美しく感じます。

一つ一つの音は別々なのに、あるいはピアノなら右手と左手が奏でる音楽は違うように感じるのに、両方合わせるとすごい。

演劇も確かに調和は大切です。アンサンブル、とよく言われます。

話は脱線しますが「マグノリア」や「Crush」「バベル」「ショートカッツ」また「ラブ・アクチュアリー」などの群像ものの映画もぼくは好きです。本当に俳優のアンサンブルが素晴らしいですし、スタッフ・監督ともにたいした才能だと思います。

「セント・エルモスファイアー」とか「アウトサイダー」とかの若者群像ものも好きです。
日本でも前者は「愛という名の下に」が、後者は「若者の全て」がそれぞれ下敷きにしていそうなドラマです。
現代劇はこうした複数人の主人公の物語が主流なのかもしれません。

更に脱線ついでで言うと「若者の全て」は特に好きで主題歌も好きで、そして深津絵里が超可愛かったんですけど・・・、なぜだか小劇場の劇団に入って稽古していて、つきあっている相手が貧乏な売れない役者っぽかったな、と。
(記憶違いでなければ仁先生をやってる大沢さん)
そして、親に当然ながら貧乏だから反対されて、みたいな話だったかと。
しょうがないからちゃんと結婚のために働き始めてっていう感じだった気がします。すみません不正確で。
でもあーいうシーンというかマスコミというかテレビの影響で、「演劇をやっている人=貧乏」という図式が一般常識として出来上がっているのかもしれません。ちょっとこれは迷惑です。
(ぼくはもちろん裕福ではありませんけど、そこまで貧乏でもないです。相手の親に断られるかどうかは相手の親によるかと・・・。相手は・・・、まあ大丈夫だと思わなければ結婚まで話がいかないでしょうし、結婚が前提でないとぼくはジュリエットみたいに付き合うつもりがありません。)


本題に戻りましょう。

さて、調和を重んじると思われている演劇ですが、確かに必要なときや重要な部分ではあるかもしれませんがそればっかりでもないかな、と思ったりもします。

そもそも、演出家や劇作家が見たい世界があって、それを実現しようとする演劇もあるでしょうし、スターシステムでそのスターを見たいと言う演劇もあるでしょう。

あるいは、僕自身普通の生活では、どちらかというと空気読めない類の人です。

読まない、というか。

ぼくは基本的に自分の考えは先に表明しないと卑怯だと思うので若いころはそうしてきました。

例えば「何の映画観に行く?」とかいう話を友人としていたら、「ぼくはこれが見たい、君は?」という聞き方をすることになります。
でもこれだと、自分の考えを押し付けられているように感じる人も居るわけですね。

つまり、ぼくが暮らしている世界の文化では(まあ、日本でほとんど暮らして生きているんですけども)自分で決定をする、人に合わせて決定をすることなど基本的に考えられない、他の人の決定に影響されたとしてもそれも含めて自分の決定である、というような前提があるわけです。

でもそうじゃない文化の人も多いんだな、と年を取るにつれ分かってきました。

だって、みんながこうしたいって一つのことを思うのなんてありえないんじゃないのかな。
よしんば、そうだとして、そうだったらなおのことみんなが自分の意見を表明した後で「おおー、みんなおんなじ意見だった、じゃあ議論なしでそれにしよう!」ってなったほうがよいのでは。

と、思いますが、やりたいことを実現するには説得していかなければなりませんし、いわゆる根回しも重要なことだと思っています。

また、すこしづつ話が逸れていますが、演劇のワークショップでやる調和とか、息を合わせていくようなワーク(例えば、何人かが同時で動き出す、止まる、など)が、いわゆる「空気を読めない人」をあぶりだす可能性もあり、しかもその人がいじめや責めの対象になるとしたら、本当に悲しいことだということを言いたいのです。

むしろ、ぼくが目指すものは一人ひとりの意見が反映されていて、それを踏まえたうえで、その作品に関わる全員が納得して提出した作品です。意見を言う機会なしに決定がなされることだけは演出家として避けたい、と思っています。

そのためには、今まで自分の意見を最初に表明していましたけど、後だしにするのもよいかな、と思っています。


念押しになりますけど、演劇のワークショップは決して「空気を読む」ことを強いるものではありません。

それよりも、一旦その人が持つ価値観や生きてきた文化、道のり、性格、考え全てを受け入れて認めて、そこから先に新しい何かを創造していく、ということなんだと、ぼくは信じています。

個性重視とかそれを育てるとか声高に言わなくとも、自然に各人の考え方やものの見方・感じ方が認められ尊重される社会になっていくのに少しでも演劇が役立てば良いし、逆に悪用されないようにしたいとも思います。

(6月18日は御殿山フェスタのためCDFワークショップはお休みです。)
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