「村」内には展示室のほか、ジェームズ砦というジェームズタウン入植者たちが暮らしたたたずまいや仕事場の様子、彼らをイギリスから運んだ3艘の船、それに当時、ここに住んでいた先住民族ポーハタンというインディアン村などが、施設の職員がその時代に暮らしていた人物らなどに扮して、見学者らに解説などをしている。
展示室の一角に、1607年まで暮らしていたポーハタン族の居住地域の分布を赤い点滅ランプで表したパネルがある。それを見ると、ジェームズ川に沿って赤のランプが、所狭しとばかりにずらっと並んでいるのが分かる。川縁を拠点に彼らは暮らしていた。
ところが、1世紀以上経ったアメリカ建国のころになると、驚くことに赤のランプはたったの数カ所点滅するだけで、あとは青の、つまりアメリカ人たちの居住地域がバージニア州全体に、それこそ無数に点灯するのである。
言うところの「征服」の時代である。先住民族受難の赤ランプ、とも言えるし、それをきちんと見せているという意味では、アメリカ人反省の青ランプ、とも言えるのだが、同行しているKがすかさず言う。
「ブッシュもそうじゃない、イラク戦略が間違っていた、とすぐ反省の言葉を言うけど、辞任するわけじゃないし、一向に責任を取ろうとしない、アメリカ人はみんなそうだよ」
Kの出身は沖縄。戦争や沖縄基地の現状を思い描くと、実感なのだろうと合点がいく。とはいえ昨年11月のアメリカ中間選挙での共和党惨敗の結果を見れば、揺り戻る力も持っている。私とすれば、そのあたりのことを同時に思い描きながら、「ちょっと感情的すぎない?」などと口にすると、すかさずKからは10の言葉が返ってくる。
長いつきあいだから、Kの気持ちは痛いほど良く分かる。それでもあえて私は言う。私たちが住む日本では、過去の「負の歴史」を、外国人を含めた後世の人々に伝えるための形ある努力を、どのようにしてきたのだろうか、と。
最新の画像もっと見る
最近の「駄文・・・というかメモ」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事