Re-Set by yoshioka ko

■再考・靖国参拝 『汚名』(第六回)

 やはり3時に目が覚めた。

 昨日、サンフランシスコは快晴。サンフランシスコ大学で予定通りの取材を終え、久々韓国料理店で食事。米産牛肉のBSE再発覚で日本は大騒ぎだというのに、韓国料理店の店主は「こっちでは全く問題ありません」とのたまう。何を根拠に、全く問題がない、のか、つまびらかにはしてくれなかったが、その言葉を信じたわけではなかったが、骨付きカルビをみんなで食べた。

 ホリエモン逮捕のニュースはこちらでも報道された。日本のマスコミが報じるニュースもネットで見ることができるが、もっともオロオロしているのは、先の衆院選でホリエモンを推薦した自民党か。まあ仕方ないだろう、といわざるを得ない。刺客だ何だと、あれほど大騒ぎしたんだもの。

 さて、シリーズ「再考・靖国参拝」。
 韓国政府は小泉首相の靖国参拝になぜ批判をするのか? そして韓国には韓国なりの「矛盾」があることをを明らかにする。

 題して『汚名』の第六回。

 ことに現代史において、日本ほど国家の歴史を曖昧にしてきた国はないのではないか。ドイツではナチズムを賛美すること自体が罪と規定されてきた(注⑩)。このような厳しさがふたたび同じ過ちを繰り返さないという歯止めの役割を担ってきたのだが、日本では歪曲だ、と指摘された歴史教科書問題に限らず、あの戦争は正しかった、という主張すらなんのとがも受けずに街に徘徊する。このような日本の姿はどのように映っているのか、韓国外交通商部金東奎(キム・トンギュ)外交政策室外務官に話を聞いた。

 -小泉首相の靖国神社参拝問題についてはどのような思いを持ってますか。

 「靖国神社問題は日本の問題であるとともに近隣諸国の問題でもあります。その両面で考えなければいけません。なんといってもA級戦犯の人たちが合祀されているために、日本の侵略戦争によって生命を失った多くの人たち、それから近隣国家の被害をいまも感じている人たちにとって参拝は冒涜だと考えるからです」

 「ひとつつけ加えますと、いま靖国神社には韓国人の戦死者2万1千余名が合祀されていると聞いています。うち何人かの遺族が日本政府を相手に、合祀から解いてくれ、霊爾簿から名前をはずしてくれ、という訴訟を起こしています。政府としても同じ要請を小泉首相にしました。その理由はA級戦犯と一緒に合祀されていることは耐えられない、という遺族たちの切なる気持ちを汲んだからです」

 「もうひとつ、靖国神社の側は日本という国家のために死んだのだから韓国人といえども霊爾簿から名前を抜くことはできない、といってるわけですが、韓国の儒教的観念からいいますと、日本のように位牌を分けるという習慣がありません。魂はあくまでもひとつです。ですから靖国神社に魂がある以上、故郷に墓を建てることができないのです。遺族たちにとっては、これは死者に対する人権問題でもあり、耐えられないということになります」

 -日本の植民地支配から解放されたあと韓国では朝鮮戦争が起きました。それからアメリカのヴェトナム戦争では韓国軍も参戦しました。このふたつの戦争で亡くなった軍人・軍属は国立墓地に眠っているわけですが、日本の太平洋戦争に駆り出され犠牲になった人たちは、いまもって行き場がありません。これは明らかに差別だ、という声が遺族たちにはありますが・・・。

 「太平洋戦争のときはわれわれの国がなかった時代でした。しかも彼らは日本のために戦ったわけですから、基本的には朝鮮戦争、ヴェトナム戦争とは概念が異なると思います。もちろん概念が違うからといってそれでいいというわけではありません。太平洋戦争で亡くなった人たちが過度な犠牲を強いられたことも間違いありません。また犠牲に対するそれなりの日本からの補償が貰えなかったことも事実です。このことについては残念だ、というしかありません」

 「それにこの問題は、実は日本側が責任を持ってやらなければならなかった問題でもあり、ある意味では戦後処理の過程で日本が沈思熟考し処理しなければならない問題でした(注⑪)」

 一般的にいえば、人間には強い人間もいれば弱い人間もいる。だが日本の植民地支配ということになれば、後世に残す歴史とは民族の矜持や誇りを鼓舞するものでなければならない、と韓国の人々が考えるのは当然のことだと私も思う。その意味でいえば、韓国には歴史を自虐的に見る目線は必要もないし、実際にもない。

 しかし、どうもしっくりとこないものが私には残ったままだった。それは、弱い人間だとされた人たちの所業は、歴史から本当にはずしてしまっていいのだろうか、という疑問だった。

(注⑩)ドイツ憲法第1条では「人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し、保護することが全ての国家権力に義務づけられる」と謳い、第20条では「ドイツは民主的かつ社会的な連邦国家である」と定め、このふたつの条項を中心とした基本原則は改正手続きによっても変更できない(79九条)、と明記している。
(注⑪)1965年に締結された日韓条約では個々の請求権は放棄された。このため韓国政府は1975年から2年間、自己申告という形で日本に供託金や預貯金のあった人、徴兵・徴用によって亡くなった人たちに対して、一律35五万ウォン、総額100億ウォンの補償措置をとった。

 

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