兵士の補充が効かなくなったということである。通常では一回の派遣期間は1年。そして再度派遣命令が出たとしても、それは1年後である。その間家族と過ごしたり、といった十分な休養が与えられる。それが叶わなくなったと言うことである。
開戦以来すでに3300人を数える死者の数、イラクやアフガンから帰還し退役した在郷軍人10万人のうち、3人に1人が「心の病=心的外傷後ストレス障害」にあるという現実、手足をもぎ取られるというテロとの戦いがもたらす特徴的な負傷、その結果、陸軍志願兵の減少と、1万4千という一個師団以上に相当する脱走兵の存在などが重なり、増派を決めたとはいえ、補充が効かない事態がやってきたのだ。
引くに引けないイラクの現状を見れば、イラクを見捨てるしかアメリカ軍の撤退はあり得ない。アメリカのジレンマは、自らが生みだしたこととはいえ、深い。それに比べてわが政府の責任感の薄さよ、である。
日米同盟が大事、と憲法の解釈を最大に拡大して見せて、もはやここまでと今度は国民投票条例を強行採決した。安倍政権の姑息というしかないが、なんといっても哀しいことは、日米同盟がなぜ大事なのか、なぜイラク戦争を支持したのか、ブッシュ政権でさえイラク戦争に大義はなく、イラクとテロリストは関係なかったと認めているにもかかわらず、なぜ日本政府はそのことは〈結果論〉のひと言ですませてしまうのか?・・・・。
いくつもの「?」に対する説明責任を政府は省いてきた。そのことに納税者である国民も声を上げない。いつから国民は〈去勢〉されてしまったのだろうか。いま見えるのは、緊張関係が切れた国と国民の姿である。
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