《以下引用》
「北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議は6日目の13日午後、全体会合を開き、核放棄に向けた初期段階措置と見返りを明記した共同文書を採択、閉幕した。同措置として60日以内に北朝鮮が寧辺の核施設の活動停止および封印と国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れる見返りとして、重油5万トン相当のエネルギー支援を開始。国交正常化に向けた日朝協議やテロ支援国家指定解除のための米朝協議の開始も同措置に盛り込まれた。次回6カ国協議は3月19日に開かれる」(2月13日『共同通信』)《引用ここまで》
ごね得、などという言葉を使ってこのニュースは流れた。なんども指摘してきたが、北朝鮮のしたたか外交が効を奏した、ということなのだろう。だが6カ国に与えた問題は、実はもっと深い。ことに日本は、である。
アメリカは、昨秋の上下両院選挙で共和党が負けたことによって、対北朝鮮政策は、ブッシュ大統領が言い続けてきた「テロ国家とは交渉しない」というセオリーが崩れ、今回は交渉をし、妥協までして6カ国共同宣言にこぎつけた。つまり5万トンの重油、そして北が核を廃絶すれば更に95万トン相当の支援をすると共に、「テロ国家」から北朝鮮をはずす、という妥協だ。
これで日本とアメリカの共同歩調は崩れた。ブッシュとの蜜月の終焉である。日本は、「この宣言は織り込み済みだ、そのことは他の5カ国からも了承を取り付けてある」という。つまり、拉致問題を抱える日本は、それの解決なしには重油提供などといった支援策には与しない、ということをいっている。背景には、拉致問題解決という国民の厳しい目と、6カ国といっても所詮は日本の金がなければ、という思い込みがあるのだろう。
中国、韓国は大賛成に違いない。ロシアは、まあこの国は「地下資源」を最大に利用して旧共和国やヨーロッパに圧力をかけ続けていたほうが面白い、とばかりに、宣言が出来て良かったぐらいの感覚なのだろう。
さて日本はこれからどう出る、かである。安倍さんの正念場でもあるが、4月の統一地方選、そして夏の参議院選もある。劣勢が伝えられる自公は必ずこの問題を選挙勝利の方程式に当てはめるに違いない。そこに向いた対北朝鮮外交がこれから始まる。
拉致被害者家族の横田さんの奥さんが、テレビでこんなコメントを言っていた。「共同宣言の採択で、これからどうなるか分からなくなりました。日本政府はどうなろうとも拉致問題の解決なしには交渉はない、という姿勢を貫いて下さい」。
政権が危うくなれば、どんな手でも打ってくる。その非情さ、というか国民のことはすぐ忘れる、といういい加減さは、国の実情でもある、ということは分かっていたほうがいい。
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