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「名ばかり大学生」(河本敏浩著、光文社新書)という本を読んだ。
ここで筆者が主張していたのは、以下の通りである。
「ゆとり教育」の影響で最近の学生の学力が著しく低下していると言われるが、学生の質は大学入学者人口に対する定員枠との比率によって時代とともに変化しており、実際には現在の学生の学力が低下しているとは必ずしも言えない。
また、1970年代の東大の問題の易しさと2000年代の東大の問題の難しさを考慮すれば、昨今の学生に対する学力への要求度が高く、問題なのは出来る生徒と出来ない生徒の学力格差が広がっていること、お金さえあれば誰でも大学に入学し・卒業できることにこそが問題であるとしている。
そして、その解決策の1つとして、定員枠を少なくして、学生の質を維持する方策ではなく、欧米のように大学の間口を広くし、大学における基礎教育でついていけないものを振り落としていく方策の方が合理的だとしている。
日本人には信じられないことだが、ブラジルでは少数ながら小学校でも留年がある。あまりにも出来ないと、同学年をもう1度繰り返すのだ。
そして、小学校低学年で留年を決める基準となるのがアルファベットの習得である。ひらがなだけで46字ある日本語と比べれば、ポルトガル語のアルファベット数は30字にも満たない。だから、簡単なようにも思える。にも関わらず、1年生でアルファベットを習得できない子供は意外と多い。
3,4年前にブラジルの初等教育は7歳入学の8年制から6歳入学の9年制に移行した。その理由の1つが、最初の2年で完全に識字教育を完了させ、留年させないことのようだ。
日本では小学校入学前にひらがな・カタカナが分かっている子も多く、1年生で漢字も70,80個ほど覚えたように記憶している。
日本の状況と比較すると、ブラジルの識字教育に関して、ブラジル人の子供がよっぽど馬鹿か、ブラジル人の小学校の教師がよっぽど能力が低いとしか考えられない。どちらにしても、日本人の感覚からすれば考えられない教育レベルである。
ブラジルでは公立教育は小中高、大学と一貫して無料である。ただ、小中高の公立学校は基本的に教育環境レベルが低いが、大学に関しては公立大学の教育レベルが断然高いため、裕福な家庭は子供を小中高は有料の私立に行かせ、大学は無料の公立に行かせる。
何とも特殊な教育環境であると言えよう。
そして、ブラジル人は小中高は基本的にあまり勉強しない。テスト前日にちょっとテスト勉強をする程度であり、毎日勉強する習慣など全くない。
だから、ちょっと人より勉強する子は、ストレートで公立大学に入学できる。また、あまり勉強ができない子でも、高校卒業後に予備校に半年くらい通えば、翌年には大学に受かってしまう。
ブラジルでは大学に入学するのは簡単である。但し、卒業するには単位を取得する必要がある。だから、ブラジル人は大学に入って、生まれて初めて勉強する。
でも、大学の授業内容についていけないものは卒業できないので、卒業率は学部によって様々だが、理系の学部の卒業者は少ないのが一般的な傾向である。
そんな環境であるから、大学に1度入って勉強して、気に入らないと、入試を受け直して、他の学部に移る生徒も多い。さらには、その入りやすさから、一旦会社で働いて社会経験を積んだ後に、改めて大学に入るという人も多い。
だから、大学1年生の年齢は17歳から20台前半、30台と幅広く、4年で卒業する人もいれば、6,7年かけて卒業する人もいて、24、25歳で初めて社会人になっても別に恥ずかしくも何ともないのである。
こういった状況を見れば、大学の間口を広くし、入学後に振り落とすという「名ばかり大学生」の著者である河本氏が提案する方策を、ブラジル政府は計らずも既に実施しているのである。
ブラジルの大学制度というのは、本人が希望する分野を学ばせるチャンスを与え、あとは本人が学生のうちに勉強して、卒業後にその道で働きたいかという本人の自主性に任されている。日本の大学生のように、適当に学部を選んで大学に入学し、4年間大学生活をエンジョイした上で、勉強したこととは全く違う業種に就くのとは少し違う。
日本はブラジルのシステムにも見習うべき点は大いにあると思う。
日本のように企業が大学4年生を卒業後に一斉に入社させる慣習は、世界的に見ても珍しく、異様なシステムなのである。この道から1度外れたものは、もう2度と勝ち組に入れないのだろうか?
日本って変な国だ。
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ここで筆者が主張していたのは、以下の通りである。
「ゆとり教育」の影響で最近の学生の学力が著しく低下していると言われるが、学生の質は大学入学者人口に対する定員枠との比率によって時代とともに変化しており、実際には現在の学生の学力が低下しているとは必ずしも言えない。
また、1970年代の東大の問題の易しさと2000年代の東大の問題の難しさを考慮すれば、昨今の学生に対する学力への要求度が高く、問題なのは出来る生徒と出来ない生徒の学力格差が広がっていること、お金さえあれば誰でも大学に入学し・卒業できることにこそが問題であるとしている。
そして、その解決策の1つとして、定員枠を少なくして、学生の質を維持する方策ではなく、欧米のように大学の間口を広くし、大学における基礎教育でついていけないものを振り落としていく方策の方が合理的だとしている。
日本人には信じられないことだが、ブラジルでは少数ながら小学校でも留年がある。あまりにも出来ないと、同学年をもう1度繰り返すのだ。
そして、小学校低学年で留年を決める基準となるのがアルファベットの習得である。ひらがなだけで46字ある日本語と比べれば、ポルトガル語のアルファベット数は30字にも満たない。だから、簡単なようにも思える。にも関わらず、1年生でアルファベットを習得できない子供は意外と多い。
3,4年前にブラジルの初等教育は7歳入学の8年制から6歳入学の9年制に移行した。その理由の1つが、最初の2年で完全に識字教育を完了させ、留年させないことのようだ。
日本では小学校入学前にひらがな・カタカナが分かっている子も多く、1年生で漢字も70,80個ほど覚えたように記憶している。
日本の状況と比較すると、ブラジルの識字教育に関して、ブラジル人の子供がよっぽど馬鹿か、ブラジル人の小学校の教師がよっぽど能力が低いとしか考えられない。どちらにしても、日本人の感覚からすれば考えられない教育レベルである。
ブラジルでは公立教育は小中高、大学と一貫して無料である。ただ、小中高の公立学校は基本的に教育環境レベルが低いが、大学に関しては公立大学の教育レベルが断然高いため、裕福な家庭は子供を小中高は有料の私立に行かせ、大学は無料の公立に行かせる。
何とも特殊な教育環境であると言えよう。
そして、ブラジル人は小中高は基本的にあまり勉強しない。テスト前日にちょっとテスト勉強をする程度であり、毎日勉強する習慣など全くない。
だから、ちょっと人より勉強する子は、ストレートで公立大学に入学できる。また、あまり勉強ができない子でも、高校卒業後に予備校に半年くらい通えば、翌年には大学に受かってしまう。
ブラジルでは大学に入学するのは簡単である。但し、卒業するには単位を取得する必要がある。だから、ブラジル人は大学に入って、生まれて初めて勉強する。
でも、大学の授業内容についていけないものは卒業できないので、卒業率は学部によって様々だが、理系の学部の卒業者は少ないのが一般的な傾向である。
そんな環境であるから、大学に1度入って勉強して、気に入らないと、入試を受け直して、他の学部に移る生徒も多い。さらには、その入りやすさから、一旦会社で働いて社会経験を積んだ後に、改めて大学に入るという人も多い。
だから、大学1年生の年齢は17歳から20台前半、30台と幅広く、4年で卒業する人もいれば、6,7年かけて卒業する人もいて、24、25歳で初めて社会人になっても別に恥ずかしくも何ともないのである。
こういった状況を見れば、大学の間口を広くし、入学後に振り落とすという「名ばかり大学生」の著者である河本氏が提案する方策を、ブラジル政府は計らずも既に実施しているのである。
ブラジルの大学制度というのは、本人が希望する分野を学ばせるチャンスを与え、あとは本人が学生のうちに勉強して、卒業後にその道で働きたいかという本人の自主性に任されている。日本の大学生のように、適当に学部を選んで大学に入学し、4年間大学生活をエンジョイした上で、勉強したこととは全く違う業種に就くのとは少し違う。
日本はブラジルのシステムにも見習うべき点は大いにあると思う。
日本のように企業が大学4年生を卒業後に一斉に入社させる慣習は、世界的に見ても珍しく、異様なシステムなのである。この道から1度外れたものは、もう2度と勝ち組に入れないのだろうか?
日本って変な国だ。
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