外国人に母国語を教えられるようになるための最適な方法。それは外国語で書かれている母国語に関する文法書を読むことなのではないかと思う。
もちろん日本語で書かれている日本語の文法書を読むことで、外国人向けの日本語教育に対する全体像を把握することは可能である。
でも、それだけでは不十分だ。
なぜなら、日本語で日本語文法を学んだ人の教え方というのは、母国語話者の一方的な発想の押し売りになっているからである。
企業がうちの商品は高機能・多機能だから売れるだろうと、売っているのと同じである。消費者はそんな多機能を必要としていないかもしれないので、ニーズに適した物でなければ意味がない。
つまり、ブラジル人が日本語の文法を理解できるように、教師が日本語文法を咀嚼し、ブラジル人向けに簡潔に説明する必要がある。
そのためにはブラジル人の言語観に立って、日本語を一言語として客観的に見られるように教師は訓練しなければならない。
そのための最適な方法がポルトガル語で書かれている文法書を読むことなのである。そうすることで、教師はポルトガル語で日本語を理解できる能力が身に付いていく。
僕の場合、JICAの青年ボランティアでサンパウロの田舎に日本語教師として派遣された際、現地の日本語教材を使用した。多少文法に関してポルトガル語の説明はあったものの、体系的でなかったので、残念ながら何も身に付かなかった。
3年間、絵カードや副教材を使って、「日本語教育」を行っていたが、今思えば子供だましの域を超えていなかった気がする。もちろん、対象となる生徒が日系人師弟で、日系コロニアにおける日本語教育が継承教育だったので、あれはあれで良かったとは思っているが。
でも、僕自身はやはり本当の意味での日本語教育がしたかったので、任期終了後にポルトアレグレに来た訳だが、ここで「みんなの日本語」を使って授業を始められたことは運が良かったと思っている。
この教材にはポルトガル語での文法解説書が別冊であり、この解説書を読み始めてから、僕自身は初めて日本語教師として成長し始められたと実感しているからだ。
ブラジルで日本語教育に関わっている1世の方には是非とも読んで頂きたい文法書である。
ランキングに参加しています。
応援のクリックお願いします。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます