国を描く上で緯度に次いで大きなファクター(要素)は、「左か右か」だと思います。
これは色んな捉え方のあるファクターなので、歌を引き合いにして語るのが適当かと思います。
まずは「左の国」の本場とされる中国からで、一番人気の若きアーティストによる 哥哥 - 朴樹 を挙げます。
「哥哥(がが)」はアニキと言った意味で、共産主義革命を成し遂げたアニキ達に捧げる歌です。 その道のりはとても激しく、未だに総括できない程の挫折と混乱に満ちていましたが、特異な歴史の1ページとして多くの光を放ったコトは確かです。 それを朴樹は激しく謳い上げており、これほどスケールの大きな熱い歌は滅多にありません。
次に日本からで、一転して軽いノリのアナーキー(無国籍主義)ソング「四面楚歌」を紹介ます。
これは前回にも挙げた細野晴臣の代表作「はらいそ」からで、南国にしょっちゅう旅に出る若き日の晴臣に対して、親や世間がみんな「悲しい言葉」で引き留めようとしたコトを唄っています。
私も20代の半分は海外放浪していた身なので、この歌には共感を覚えます。
続いてまたスケールの大きな、中島みゆきの「East Asia」を挙げます。 これを「左の歌」とする理由は、彼女が自分の国を日本よりスケールの大きなモノとして謳い上げているからです。
流石は「アジアの歌姫」で、彼女は特に中国で人気を博しています。
アメリカで「左の歌」を多く唄っている人気歌手はポール・サイモンで、「America」や「Citizen of the Planet」が有名ですが、ここでは敢えてマイナーな「簡単で散漫な演説」を挙げます。
この歌は「T Free」に入れようとしたのに題名が見つからなかった程マイナーで、ようやくネットで探し当てました。
ここで歌詞をチェックして貰えると分かるように、「左利き」は体質的なモノでそう易々と「右利き」に転向は出来ませんが、中道を目指す姿勢は大事にされています。
シェリル・クロウの有名な「Soak Up The Sun」もそんな歌で、コミュニストの友達との付き合いを唄っています。
実は私も大学時代は「民青(共産主義組織)」に入ってて、コミュニスト友達を多く持ちました。 彼等は非常に真面目で社会を良くしようとしており、私の様なヒッピーとは別世界の人達でした。
しかしやはり、あんまり真剣にコミュニズムにのめり込むと「革命」だなんて言い出しかねないので、「太陽の光を浴びて」ハッピーに生きて欲しいです。
アメリカを代表する社会派シンガー、ジャクソン・ブラウンのキューバとの絆を唄った「Going down to Cuba」も、そうした中道の歌です。
キューバは「左の国」でアメリカと対立していますが、そんなの気にせずブラウンはしょっちゅう音楽仲間に会いに行き、「右も左も関係ない」人々の暮らしを温かく謳っております。
ラストナンバーは、U2のボノが国連親善大使としてアフリカで活動してた時に作った「No Line on the Horizon」を挙げます。
「地平に国境線なんて無い」と唄うボノの歌声は熱く、アフリカの国境線はヨーロッパの植民地支配によって引かたモノです。 もういい加減アフリカは一つに纏まるべきとされ、マルクスの提唱した「プロレタリア(貧しき者達)の連帯」は、アフリカで新たな革命の機運を得ています。