真の動物福祉牧場を目指して

遊牧民との絆

 前回から続き、モンゴルでパールが立ち上げた難民支援事業について描きますが、それはかつて彼女が亡命中に助けられた「遊牧民との絆」を活かすコトにします。

 現在のモンゴルでは遊牧民が都市の便利さに引かれてどんどん離牧しており、私が8年前にウランバートルを訪れた時には郊外にゲル(大きなテント)の村が出来ていました。
 パールはこうした流れに逆行し、遊牧事業で難民達を養おうとします。

 これは実現性のある話で、誰もモンゴルの広大な草原を管理する人が居なくなれば国の伝統が消えてしまうので、モンゴル政府も出来る限りの支援をパールの事業に与えます。

 頑固に遊牧生活を続けていた人々もパール達の参入を歓迎し、特にロシアから亡命したばかりのパールを救った遊牧民家族は「女神」の再来をとても喜びます。

 クラウドファンディングで立ち上がった彼女の事業には様々な国から支援者が訪れ、中にはWWF(世界野生生物基金)総裁のエジンバラ公なども来てパールの心を掴もうとしますが、それは遊牧民の男に射止められるとします。

 これには読者の方々から反対意見があるかも知れませんが、たとえパールと「文学的な同志」と言える存在で、金銭的な支援を惜しみ無く捧げる男でも、モンゴルで一生遊牧民として生きる覚悟は有りませんでした。

 詩人のパールにはそれが有り、彼女にとって街は年に一回くらい行けば十分な所でした。
 近未来では遊牧民もスマホを操れ、情報格差は世界中でほぼ無くなります。
 それが残るのは情報統制国家で、ロシアや中国などでは真実が歪められ、外部の情報はシャットアウトされます。

 物質的な格差も彼女には気にならず、むしろ何も無い方が物事に愛着を持てて良しとします。
 モンゴルなどの発展途上国の街では、ゴミが溢れて空気は悪く、失業者も溢れて治安が悪いコトが共通しています。
 そんな街で難民達を受け入れるよりも、まっさらな大草原でグランピングをしながら暮らす道をパールは選びます。
 
 この道はかつて、中国共産党の支配に立ち向かった愛真覚羅傑仁の歩んだ道であり、「剣の女王」(チェンジング・オブ・ザ・ガード)と文壇で目されるパール-ソルジェニーツィンはその再来と成ります。

 
 
 

 
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