ウェン王子とトラ
チェン・ジャンホン作・絵
平岡敦訳
徳間書店
小学校中学年~向き(9分)
この表紙がこの絵本のすべてを物語っている
激しさと繊細さ
恐怖と安らぎ
怒りと悲しみ
猛々しさと優しさ
相反するものをその中に持っている
雄弁な表紙
そして物語も
人間とトラ(自然)
対立するものの中でさえ普遍的に存在する
愛
トラの母親としての心と
世界をつなぐ象徴のように成長していく王子
内に秘めた熱さを持ちながらも
余計なものをそぎ落として
絵本が持つ力そのままに
子ども達に静かに語ってみたい絵本
(ハードル高い・・・)
あとがきに、作者は
『中国の殷王朝時代に作られた青銅器をながめていて思いついた』
と 青銅器のイラストとともに書いている
才能のある人は、いろいろなものからインスピレーションを得るんだな
この<雌トラ>と呼ばれる青銅器と中国の伝説が結びついたお話
絵本の表紙の説得力は、この青銅器の説得力なんだろう
一度、見てみたい
パリまで行かなきゃいけないけど・・・
(パリのセルニュスキ美術館所蔵)