ゆりぢるのお勝手ブログ

心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書き付けてゆきます。

日雇いアルバイト

2015-12-04 00:02:00 | 日記
と言っても、自分が子供の時の話だが。

うちは実家が工務店を営んでおり、
父はいわゆる大工の棟梁というものだ。

家を新築し、お客さんに引き渡す前には
家の中をキレイに掃除する。
建てただけでは、中は埃やら、おがくずやら、
いろんな大小様々なゴミは出てるし、新しい畳も粉っぽい。

今ではホームクリーニングサービスに頼んで掃除してもらうが、
かつては私と姉の恰好のアルバイトであった。

小学校とか、中学校の時に1日手伝って5000円である。
けっこうデカい。

その分、しっかり肉体労働。
一軒分すべての窓を拭き、フローリングすべてにワックス+乾拭き。
畳も乾拭きして、埃も丁寧に掃きだしたり拭き上げたり。

それなりに大変ではあるが、
まだ誰も入っていない、まったく家具などもない
まっさらな新築の家に入れるのはなかなかの特権であったな、と。
またあの新築の匂いがいい。

柱などの木の匂い、畳の匂い。
新しい壁紙とか、水回りの設備も独特のいい匂い。

家族でお弁当を持って、行ったことのない場所へ行き掃除をする。

そこで父親の仕事を垣間見る。
子供の頃から、ずっとそうやって父親の仕事が身近にあったせいか、
私たちの父に対する尊敬は揺るぎない。

その頃の両親に、そこまでの思惑があったとは到底思えないが
(安く使える人手程度の認識だろう)
今さらそんなことを母に言ったら
「そうよ~!お父さんの有り難さを知るためになんたらかんたら」
言い出しそうで、悔しいので黙っておこう。

さて、掃除が終わると帰途につくわけだが、
行き帰りはトラックである。
ちなみにトラックの座席に4人は乗れない。

私と姉は荷台に「載って」いた。
「見つかるとお巡りさんに捕まるわよ!」という母の言葉に
荷台にひれ伏し、上からシートを被って
荷物と化していた。

行きはまだ広い荷台だが、帰りはダンボールやら
木屑やらも積んでくるので
私たちもほぼゴミと同化していた。

時々、被っているシートの隙間から
そ~っと外を覗いたりして様子を伺い、
姉とワケもなく楽しくて仕方がなかった。
そんな状態で片道30分前後。
この時だけは車に酔わなかったなぁ…

懐かしくもゆるい、長閑な昭和であった。

「オイ、エレン。俺の掃除はゆるくねぇぞ」