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ラヂオ惑星モルファス

今日聴いた音楽・・・ヨアヒム・ラフ 交響曲第5番「レノーレ」

題名を見て、あれ?レオノーレじゃないの?と思った方がいるかもしれませんね。
レオノーレとはベートーベン唯一のオペラ「フィデリオ」のヒロインです。レオノーレ序曲と名付けられた3曲と一番最後に作曲されたフィデリオ序曲の4曲が知られていますね。
このオペラ「フィデリオ」はジャン・ニコラス・ブイイというフランス人の劇作家による『レオノーレ, または夫婦愛』(Leonore, ou l'Amour Conjugale)という作品を元に書かれています。

一方、今回ご紹介する「レノーレ」は、ゴットフリート・アウグスト・ビュルガーの詩(バラード)「レノーレ」を元に作曲されたものです。
ゴットフリート・アウグスト・ビュルガーは岩波文庫にも『ほら吹き男爵の冒険』という小説が収められているドイツ人の作家です。まあ、日本では明らかに先のブイイよりは知られた作家でしょうか?

熊本大学講師(当時)の森田直子氏が、2000年12月16日の日仏会館で行われた「テキストとイメージ」という連続セミナーで発表されたこのバラード「レノーレ」の梗概を引用させてください。

『若い娘レノーレが七年戦争(一七五六―一七六三)に出征した恋人ヴィルヘルムの帰りを待っている。プラハ近郊でのフリードリヒ二世の勝利ののち、兵士たちは故郷に戻ってくるが、ヴィルヘルムの姿は見つからない。レノーレは絶望し、神に対する冒涜の言葉を吐く。ところがその晩、真夜中近く、ヴィルヘルムが鎧をまとった騎兵の姿でレノーレのもとに現われ、これから婚礼の場所まで百里の道のりを行かねばならないと告げる。二人を乗せて、黒い馬は風のように駆け抜ける。ヴィルヘルムは絶えずレノーレに「死者は速く駆ける」という言葉をかける。朝一番の鶏が鳴く頃、馬は墓場に着く。墓から死者たちが起き上がる。ヴィルヘルムの身からは鎧がこそげ落ち、骸骨が現われる。大地が口を開けてヴィルヘルムとレノーレ二人を飲み込む。』という内容だそうです。

勿論、オペラではありませんから「レノーレ」のイメージで作曲された交響曲で、曲のイメージをラフ自身が「二人の恋人の幸福は、しかし戦争によって引き裂かれる。男が仲間と共に戦場に向かわねばならない時が来て、レノーレは一人残される。孤独のなか、凶事の予感が彼女をとらえる。彼女は熱に浮かされ、幻影は彼女を死へと導く」と述べているそうなので、まあ多少「表題音楽的」すなわち「ロマン派」の作品と言うことが出来るでしょうか?
曲は1870年から72年にかけて作曲され1873年にベルリンのコンツェルトハウスで公開演奏されたそうです。
第1部から第3部の3楽章ですが第一部がホ長調のアレグロと変イ長調のアンダンテ・クアジ・ラルゲットに分かれています、事実上の4楽章形式でしょうか。

では、第1部前半をどうぞ。


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