先日、何気なくテレビを見ていたら加古隆氏が出ていました。どうやら自分が通っていたいわゆる「パリ国立高等音楽院」(正式に言えば「Conservatoire national supérieur de musique et de danse de Paris 」)を訪ねる旅のようでした。
全く知らなかったのですが、加古氏がオリビエ・メシアンのクラス(作曲科)の学生で現代音楽を目指していたことも3年でフリー・ジャズの演奏家となったことも、何か感動的でした。
その番組の中で、加古氏が訪ねて行ったかつての雑誌の編集者が、メシアンのクラスを飛び出してフリージャズの世界に飛び込んだことを「音楽のスタイルは洋服のようなもの、その時々に自分に似合うスタイルをまとうけれど、音楽そのものは洋服の中の君自身だ。君自身の音楽の本質は、纏う洋服(音楽のスタイル)が違っても君自身のものさ。」とにこやかに語っていたのが印象的でした。
コロナへの対処、愚かな人ばかりの総裁選挙、責任を負うべき人が真っ先に逃げて救わねばならない人を置き去りにしたアフガニスタン・・・・・この国の情けない現状の中で、なかなか音楽を「心から楽しむ」ところまで行かないのですが、この曲を聞くとやはりこうした「愚かな人間の業」のようなものを感じてしまいます。