アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ダンギク - 菊と呼ばれ 2

2021-09-30 18:07:13 | みんなの花図鑑

このダンギク(段菊)もキク科ではないのに キクの名が入っています。
どういうことなのでしょう?




ダンギクは カリガネソウ属(Caryopteris)の宿根草です。落葉低木に分類されることもあります。
現在は シソ科ですが、クロンキスト体系ではクマツヅラ科に属していました。
ダンギクの「段」は 段になって咲くことから、というのは判りますが、「菊」のほうは難解です。
葉を見ると 菊の葉に似ているので、それからついたのでしょうか?





花はシソ科の植物に多く見られる唇形花で、長い雄しべと雌しべが花弁から突出します。
ハッカの段々咲きに似ています。




唇形花とは、筒状の花の先端が上下に分かれ、唇のような形になる花のことです。
木でいうと 西洋ニンジンボクの花にとてもよく似ています。





花序は半球状で、上へ上へと咲きあがっていきます。




「カリガネソウ属の名はTripora属にあて、Caryopteris属をダンギク属とする文献も見られる」(wiki「カリガネソウ属」)


シュウメイギク - 菊と呼ばれ

シュウメイギク - 菊と呼ばれ

2021-09-30 07:43:43 | みんなの花図鑑

シュウメイギク(秋明菊)は菊の名がつくけれど キク科ではなくアネモネの仲間です。アネモネ属はキンポウゲ科の植物です。





シュウメイギクの原産地は中国四川省の石灰岩地帯で、日本のシュウメイギクは「古い時代に入ってきた帰化植物」(wiki「シュウメイギク」)と考えられています。
「古い時代」とは室町時代のころらしいです。




なので、日本のシュウメイギクの学名は
学名:Anemone hupehensis var. japonica
と変種扱いです。




ただし、「日本のものが渡来以降に変種になったということは考えられないので、シュウメイギクにはいくつかの変種があり、その中のひとつが日本に野生化したものであると解釈すべきなのであろうと思う。」(植物雑学辞典「シュウメイギク」)





面白いのは シュウメイギクは「赤八重咲き」種のほうが先で、この桃色の一重咲き品種は 「赤八重咲き」種と、白一重咲きの交雑で生まれたと考えられていることです。

私たちは園芸コーナーで白やピンクの一重の秋明菊を見るたびに、どうしてアネモネの仲間に「菊」の名をつけるのかといぶかしく思いますが、濃いピンクの八重咲き種なら「キクかも?」とも思いたくなる姿をしています。

八重咲き秋明菊



ダンギク - 菊と呼ばれ 2

風車菊 - ブランド名?

2021-09-29 19:28:56 | みんなの花図鑑

面白いキクに出会いました。
場所は 西尾市憩の農園。




ラベルに 「inochio 風車菊® シリーズ」とあります。
「風車菊」というのは 登録商標らしいです。




inochio(イノチオ精興園)のサイトへ行ってみると、
「菊の品種作りに取り組み、6,000品種以上の品種を作り出しています。」
とあります。
そこの 品種紹介 の中に
NEW! 「ラバーズ風車イエロー」
とラベリングしてある風車菊が このキクにそっくりです。




匙のような花弁(舌状花の花弁)のなかに、へらぺったい筒状花が居心地が悪そうに住んでいます。
キクはどんどん変わったものが作り出されていますね。

シオン属?‐ 秋深し

2021-09-29 07:56:10 | みんなの花図鑑
朝晩、めっきりしのぎやすくなりました。



季節を感じる場所は 憩いの農園。



キク科の名前が分かりません。



Google Lens で検索すると 「シオン属」と言ってきます。



日本では シオン(紫苑)属と言ってますが シオン属は Aster(アスター) です。



分類のツリーを上から降りていくと、
日本語ツリーでは
 キク目
 キク科
 キク亜科
 シオン連
 シオン属
とキクから突然 「シオン」へジャンプし、シオン属がキク科の中では 傍系のような気がしますが、




元々の学名では
 Asterales
 Asteraceae
  Arecoideae
  Astereae
  Aster
と語幹に変化がありません(Arecoideaeを除く)。
つまり、シオン属(Aster)は キク科(Asteraceae)の真っただ中にあるのです\(^o^)/




「シオン属 八重」でググると、以下のような記事に出会えます。
「孔雀アスターの名で総称される一群の園芸植物は、アスター・エリコイデスとキダチコンギクの園芸品種、および‘白孔雀’とユウゼンギクとの交配種などが中心になっています。」(趣味の園芸「宿根アスターの基本情報」)




シオンの学名は Aster tataricus、
英名も Aster tataricus
「シオンは原産国の1つである中国の呼び方「ジワン」が変化し、紫の花から「紫苑」の漢字があてられました。(中略)
シオンの英名は「タタールの(tataricu)星(aster)」を意味します。シオンの花びらが放射線状にひろがるのが星に例えられたのが由来で、タタールとはモンゴルやシベリアなど北アジアで活動する民族の総称です。」(BOTANICA植物辞典「シオン」)


ボタンクサギ、シュウメイギク - 雨に濡れ

2021-09-28 18:20:22 | みんなの花図鑑
雨の日のコンデジ散歩、最後は 木本、草本ごちゃまぜで。


ボタンクサギ

クサギ属のボタンクサギです。



科はクロンキスト体系でクマツヅラ科に分類されていましたが、現在はAPG植物分類体系でシソ科とされています。





タラノキ

タラノキはウコギ科の落葉低木。



「夏の8月頃に、多数の小さな白い花を複総状につける花序を一つの枝先に複数つける」(wiki 「タラノキ」)




カキ

カキはカキノキ科。
学名は Diospyros kaki ← 学名がカキ
「カキの渋味は、シブオールという物質(タンニンの一種)でカキ全般に存在する。甘柿の場合には、熟す段階で水に溶けにくい形になるため 渋さを感じない。」(身近な花図鑑 「カキ 千成柿 (2)」)





ハナミズキ

ハナミズキは ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。




別名、アメリカヤマボウシ。





ムラサキルエリア

ムラサキルエリアか ヤナギバルイラソウか、迷いますが、
葉が柳葉というほど細くないので、ムラサキルエリアとしました。




ムラサキルエリアはキツネノマゴ科ルイラソウ属。(ヤナギバルイラソウも同じ)






シュウメイギク

シュウメイギクは キク科のコスモスに似た花をつけますが、キク科ではなく キンポウゲ科の植物です。



学名:Anemone hupehensis var. japonica で、アネモネの仲間です。




キバナコスモス

「キバナコスモス(黄花コスモス、学名:Cosmos sulphureus)は、キク科コスモス属の多年草または一年草。コスモスの名を冠するが、オオハルシャギクとは同属別種にあたり互いを交配する事は出来ない。」(wiki 「キバナコスモス」)




ルドベキア・タカオ

ルドベキア・タカオの学名は Rudbeckia triloba (ルドベキア・トリロバ)
筒状花が黒く盛り上がり、舌状花が黄色い3~4cmの小花をたくさんつけます。





トレニア(ハナウリクサ)

アゼナ科ツルウリクサ属 (Torenia)の花。
ハナウリクサ T. fournieri
インドシナ半島原産の一年生植物で、よく栽培されている。花期は6-9月頃。種子は非常に細かい。単に「トレニア」というと本種のことをいう場合が多い。(wiki 「ツルウリクサ属」)


アオイ科の花たち - 雨に濡れ 3

2021-09-28 08:10:59 | みんなの花図鑑
雨のコンデジ散歩、今日は アオイ科の花たちです。
(といっても写真はイマイチでしたので)
「アオイ」という名の花は無いことを話題にします。




ムクゲ

アオイ科フヨウ属(Hibiscus)の花は「一日花」と言われますが。。。




「朝花が開き、夕方にはしぼんで、また翌朝開くものもあるが、たいていはそのまま翌日も開花し続け、一重のもので2〜3日、八重の長く咲くもので2週間くらい一輪の花を楽しめる」(wiki 「ムクゲ」)



八重咲き種
八重の内側の花弁は おしべが変化したものと言われてます。



半八重咲き




一重咲き
ムクゲの学名は Hibiscus syriacus
syriacus は 「シリアの」の意。
ムクゲの原産地は中国と考えられています。
では、種小名の syriacus は何を表すのでしょうか?
これについては 記事「タチアオイ」をご参照ください。




フヨウ

アオイ科フヨウ属のフヨウです。学名は Hibiscus mutabilis
種小名 mutabilisは「変化しやすい」(英語のmutable)の意。(wiki 「フヨウ」)
撮影時刻は 16:30過ぎです。





モミジアオイ

モミジアオイもアオイ科フヨウ属。
学名は Hibiscus coccineus
種小名の coccineus は 「紅色の,緋紅色の」の意。(学名解説より)


このモミジアオイ、タチアオイ、ゼニアオイ、トロロアオイ(花オクラのこと)と「アオイ」の名がつくアオイ科の花は多いです。
ですが 端的に「アオイ」という花は無いのです。
単に「アオイの花」といったら タチアオイのことを指すようです。(BOTANICA「葵(あおい)ってどんな花?」を参照)
また「アオイ(葵)という名は、元はフユアオイなどを指し」との記述もあるようです。(wiki「アオイ科」)
また 「葵の御紋」の「葵」は「別科であるウマノスズクサ科のフタバアオイの葉をデザインしたものである。」(同上)
というわけで、どこまで行っても 端的に「アオイ」という花は無い例証ばかりです。




オクラ

学名は Abelmoschus esculentus で、トロロアオイ(花オクラ)属の植物です。

アオイ科の花に共通する特徴は何でしょうか?
私は最近 アメリカキンゴジカの雄しべが基部で合着しているということを聞いてから、この「おしべが何らかの程度で合着していてその中を花柱が伸びている」ことが アオイ科の特徴ではないかと思うようになってきました。
イチビだって 「雄しべの下部は合着してまるく袋状になり、その基部は花弁と合着している。子房は雄しべが合着した部分に包まれている。」(野に咲く花)なんですよ (^^♪





ローゼル

果実はだいぶ個性的ですが、花は オクラなどにそっくりです。



学名は Hibiscus sabdariffa cv.
学名の cv.は cultivar の略で、栽培種・園芸種であることを表しています。



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あぜ道の草 - 雨に濡れ 2

2021-09-27 17:51:07 | みんなの花図鑑
雨の日の コンデジ散歩のつづきです。


今回は 主として あぜ道の草(いわゆる雑草)をピックアップします。

でも、雑草の前に、よく間違われやすいサツマイモ属のつる性植物を。


マルバルコウ

上は川の土手に咲いていたマルバルコウです。
花だけ見ると 下のルコウソウによく似ています。
でも、マルバルコウの葉は ルコウソウのように 細く切れ込んでいません。
また、花色はこの濃いオレンジ一色です。



ルコウソウ

参考のため、こちらが家のグリーンカーテンに使われていた ルコウソウです。
ご覧のように、葉が細かく切れ込んでいて どこかの水槽の水草のようです。



ルコウソウの花色は 赤、ピンク、白の花色があり、混色して植栽すると華やかになります。





イヌタデ(タデ科)







イヌタデにも 赤みが強い花の株と 白身が強い花の株とあるようです。




ヒナタイノコヅチ(ヒユ科)

ひっつき虫のイノコヅチは ヒユ科の草です。




バッタが止まっていました。雨に濡れ、2秒ごとに雨を自分の手で落としていました(´∀`)





ヒレタゴボウ(アカバナ科チョウジタデ属)

名前は ヒレのあるタゴボウで、タゴボウとは チョウジタデのこと。
画像は ヒレ - タゴボウの果実です。



水田の稲より高く伸びていることがあります。



葉っぱに模様がついていると思ったら 芋虫でした !(^^)!




名前の分からないイネ科

最後は、名前の分からないイネ科です。



スマホのGoogle Lensで検索した限りでは、シナダレスズメガヤが一番近いかな?と思いましたが…



ススキを第1候補に挙げてきたくらいなので、あまりあてになりません。



もひとつ、名前の分からないイネ科。

これもGoogle Lensで検索したのですが、的外ればかり。
近くで花穂の状態を見ているわけではないので、絞り込みようがありません。
画像検索すると ヌマガヤ が似た雰囲気ですが、沼に生えていたわけではないので、これもホントの名前は不明です。




サルビアもサギも - 雨に濡れ

2021-09-27 08:03:27 | みんなの花図鑑

きのうは 朝からずーっと雨でした。
雨の日は コンデジもって散歩です。
少し花数が寂しいですが、サルビア・ガラニティカ(Salvia guaranitica)です。
最近マイブームの少し離れてマクロ撮影。
左手に傘持って、右手にカメラ構えて、立ち位置を色々変えていたら・・・



視線のずーっと延長線上、80mくらい先に、白い鳥が木立のてっぺんに立っています。




最望遠側で確認すると ダイサギです。




あまりに遠すぎます。トリミングしてこのくらい。
でも雨の中、じっと止むのを待つダイサギ、なかなか絵になりましたよ (^^♪






サルビアの花に戻って…

サルビア・ファリナセア(Salvia farinacea)。



別名 ブルーサルビア。





そして、サルビア・ミクロフィラ(Salvia microphylla) かな?



(私 植物の名前に疎いんです(T△T))
適当ですみません。




あと、シソ科つながりで

青ジソ!
畑で元気よく育っています。
「食用にする葉の色により赤ジソと、その変種の青ジソがあり、大葉は青ジソの別名である。」(Weblio辞書「シソ - シソの概要」)


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ローゼル - アオイ科

2021-09-26 18:12:35 | みんなの花図鑑

ローゼルは アオイ科フヨウ属の亜灌木。




ローゼルの学名は Hibiscus sabdariffa
ハイビスカスの仲間です。




どおりで、オクラや ワタの花によく似てるわけ。









「熟した萼は多汁質でクエン酸や酒石酸を多く含み、乾燥させたものがハイビスカスティーの原料となります。」(ヤサシイエンゲイ「ローゼル」)




ついこのまま食べてみたくなるけれど、中には甘い果肉がつまっているのではなく、固い種が入っています。




イチゴの果肉のような部分は、花が咲き終えた後の「萼(がく)」がその中に実を包み込んだもの。根元のイチゴのへたみたいな部分は「苞(ほう)」と呼ばれ、この「萼」と「苞」をお湯で抽出してハーブティーにしたり、コトコト煮込んでジャムにします。ローゼル、なんと言ってもそのさわやかな酸味が特徴です。(沖縄の島野菜と果物「ローゼルでジャマイカンドリンク」)







アメリカキンゴジカ - アオイ科

2021-09-26 09:30:26 | みんなの花図鑑

ちょっと意外かも、ですが、アメリカキンゴジカは <アオイ科>の植物です。
ちょっと意外だと思われるところは、イチビ(キリアサ)に似ています。
アメリカキンゴジカの花は イチビよりももっと小さいです。




あぜ道にこのように群れています。熱帯アメリカ原産の帰化植物です。
帰化した時期は不明ですが、最初に侵入してきたのは、アメリカアサガオやセイバンモロコシと同じく銚子の醤油工場からと言われてます。(小滝 ・岩瀬:「帰化 雑草 の生態」pdf)




学名は Sida spinosa
属名 Sida (キンゴジカ属)は(もちろんシダ羊歯じゃなく)、「「ザクロまたはスイレン」を表す古代ギリシア語 σίδη (sídē)に由来するとされて」います(wiki 「キンゴジカ属」)。

種小名 spinosa は( 哲学者スピノザのことではなく) 「spinosus 刺多い, 刺で充満した」(学名解説)でした。





昔コンデジで撮った画像です。蝶はウラナミシジミだそうです。通常 ウラナミシジミは クズの花が大好きということになっていますが…




さて、ようやく本題です。
アメリカキンゴジカの名は アメリカから来たキンゴジカ(Sida)ということですが、キンゴジカ(金午時花)は「 金色のゴジカ(午時花、正午に咲く花)」ということで、南アメリカから来たキンゴジカに似た花という意味です。




ゴジカ(午時花)は正午に咲く花でしたが、キンゴジカや このアメリカキンゴジカは 午前中の一時期にしか咲きません。
この花は 2回に分けて撮ったものですが、時刻はいずれも 9時半ごろと10時ごろでした。
11時ごろにはもう閉じてしまっています。




アメリカキンゴジカの花弁は左右が非対称で、開花最盛期の1時間の間でも 完全に花弁が開き切らない中途半端な咲き方をしているものが多いです。
雄しべは 10~20本あり、「雄しべの花糸は合着し筒状になっていて、雌しべの花柱はその中を通って、柱頭を放射状に5方向に出しています。」( なかなかの植物ルーム「アメリカキンゴジカ Sida spinosa」)