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2つの「GMO」

2008-11-14 | 会計・株式・財務
お疲れ様です。

12日にGMOインターネットの第3四半期決算が出ました。

ご案内の通り、この会社は過去に消費者金融事業に500億円以上もの
資金を投じたことが裏目に出て一時債務超過寸前まで追い込まれましたが、
昨年12月に総額59億円の第三者割当増資で急場を凌いだ会社。

その増資のうち45億円が経営者からの投資不動産による「現物出資」
ということで話題を集めました。

そんな情報も踏まえつつ、


第3四半期決算短信

をご覧ください。

p.10の貸借対照表を見てみますと、
ありました投資用不動産45.6億円。
総資産の1割超を占めております。

投資用→賃貸ってことでしょうから
p.13の損益計算書を見てみますと
ありました受取家賃 86百万円。
1年換算ですと、115百万円。


直観的にこの投資用不動産は金額が過大ではないか?
と感じましたので
収益還元法的な考えで評価額を検証するとしましょうか。


本当はNOI(Net Operating Income)が分かればいいのですが、
わからないので
家賃収入=NOI
という甘めの前提を置くとしましょう。

現物出資の時点でキャップレートがどの程度の水準にあったかというと・・・・

1.15億円÷不動産評価額45.6億円=2.5%!!  ひ、低い!

実際、NOIはもう少し低いでしょうから、2%台前半ってとこなのかも。



・・・・確かに六本木の好立地、評価時点が昨年12月と不動産バブル破裂寸前
という状況からしますと、まぁ仕方ないか・・・・ってな価格。
鑑定士も頑張ったのでしょう。


しかしその後、ミニバブルは見事に破裂しました。
キャップレートが仮に4%まで上がってしまいますと、評価額は28億円。
▲17億円の含み損となります。



この他に、当社が保有?している危険な見積もり資産を見てみますと・・・・・
  
  繰延税金資産(流動) 738百万円
  繰延税金資産(固定)1,982百万円
  のれん       2,150百万円
 ----------------------------------------------------
   合計       4,870百万円 

これに対して、

株主資本        6,693百万円


まだまだ資本の質は低いと思います。
こんな状況ですから、とにかく収益を上げ続けないと、
のれんや繰延税金資産を一気に取り崩す、ってことが起きかねない。

したがって必死に収益回復に努めている。
だから、大幅増益となったワケ。

財務上のプレッシャーが好業績を引き出している
というか、出さざるを得ないというのがこの会社の宿命・・・・・

ソフトバンクと似ていますよね。


とにかく今後は、投資用不動産の含み損にも留意すべきかと思います。


それにしてもこの会社、消費者金融業・証券業をかなぐり捨てて大転換。
まるで遺伝子組み換えをしたようだ・・・・・。

そう、遺伝子組み換えも Genetically modified organism GMOなんです。
社名にふさわしい経営ぶりです。






さて、2つ目の「GMO」ですが、
これは厳密には「GM0」。

そうです、「米国自動車GMの株価ゼロ」。

 ドイツ銀行のアナリスト、ロッド・レーチェ氏が調査リポートで、
「GMが破綻(はたん)を回避できたとしても、同社の将来は破綻に近い道を
たどるだろう」と指摘。GM株の投資判断を「セル(売り)」と、
従来の「ホールド(中立)」から引き下げ、
今後1年間のGMの株価目標をゼロとしたとのこと。


クレジット・アナリストさながらの思い切った投資判断なのしょうが、
今の今まで「ホールド」にしていて顧客に相当損失を被らせた責任は
どうなんでしょうかねぇ?

結局、次の職場に行くための売名行為ってことですかね。
だとしたら、ひどいもんですな。

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