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粉飾減らそう「Q1Q4」   

2012-03-28 | 会計・株式・財務
「Q1Q4」は新手の漫才コンビでも、「1Q84」の姉妹編でもありません。
しかし非常にタイムリーなテーマだと思います。



ブログを再開しますとどうしてもネタ探しせざるを得なくなりまして、本日はこの本を購入。

最新 粉飾発見法
税務経理協会



知る人ぞ知る粉飾決算研究の第一人者による最新作。
ご興味ある方はぜひ実物で確認いただければと思いますが、
私はその中で、あまり見慣れない「四半期決算財務諸表分析法」に着目しました。

著者はこの本の中で、四半期決算の特徴として、「年度末における利益操作などの発見が容易になる」としております。
つまり、年度末に売上高を水増しした場合などでは、年間の売上高では目立たなくても、当該四半期の売上高が大きく膨らむので、粉飾を発見できる可能性が大きくなる。
また、年度末に、翌年度の売上高の先行計上を行なった場合、第4四半期(以下、第4Q)の売上高が増えるが、翌年度の第1四半期(以下、第1Q)の売上高が激減することが多いので、第4Qに発見できなくても、次の第1Qで発見できる可能性がある。

ということで、年度末の利益操作をチェックするためのポイントをいくつか取り上げております。
自分ための備忘も兼ねて、一部をご紹介しましょう(同書P.176より抜粋)。


<年度末の利益操作 チェックポイント>

①第4Qの売上構成比が異常に高くないか(50%超が続いていないか?)
2年以上、50%超という企業は稀。

②第4Qの売上構成比の上昇が続いていないか
売上高先行計上していると翌1Qは売上が落ち込み、業績回復しない限り、次の4Qではさらなる先行計上をせざるを得なくなる。

Q1Q4売上高倍数が異常に大きくないか(3倍以上)
やっと出てきました「Q1Q4」。何てことはない、第1四半期と第4四半期を著者がこう表現しているのです。

 Q1Q4売上高倍数=第4Q売上高(前年度)÷第1Q売上高

④Q1Q4売上高倍数の上昇が続いていないか

⑤四半期ごとの売上高粗利益率に異常な動きはないか。

⑥第1Qの売上債権回転期間が異常に長くないか

⑦第1Qの売上債権回転期間の上昇が続いていないか

など


私はこれまで、『四半期決算なんか導入すると目先の利益を追う近視眼的な経営になりはしないか』と制度そのものをネガティブに見ておりましたが、せっかく情報開示量が増えているワケですので、活用しない手はないのでしょう。
あと1ヶ月もすれば上場企業の決算短信が出揃ってきますので、「これは!」という企業で分析してみてはいかがでしょうか。

また、監査を担当される会計士の先生方にもこの手法を用いて、粉飾の芽を少しでも摘んでいただければと思います。金融庁も「粉飾企業、会計士は見抜けるはず」と言っておりますし・・・。


最後に、今まさに決算の追い込みをされている3月決算企業の経理ご担当の皆様へ。

  ・・・・・「無駄な抵抗」はやめて、堂々といきましょうよ。


なかのひと


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1 コメント

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粉飾はばれます (NONO)
2012-03-31 16:19:40
私の上司の言葉
「やってもいいけど ばれるよ粉飾って」
なんで ばれるのにやるのかわからない・・と言ってました 本当にその通りだと思いました

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