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パっと大損サイゼリヤ。今度は140億円デリバティブ損失!

2008-11-22 | 会計・株式・財務
すいません、昨日来からの風邪でダウンしておりまして更新が滞ってしまいました。
ようやく平熱に戻りました。日中寝過ぎで眼は冴えており、簡単にコメントを。





しかし、この会社もまぁ~次から次へといろんな話題を提供してくれます。
前回のピザ返金問題なんて吹き飛びました。

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◆サイゼリヤ、デリバティブ契約で評価損140億円◆

 イタリア料理店をチェーン展開するサイゼリヤは21日、為替リスク回避のために
BNPパリバ証券と結んだデリバティブ(金融派生商品)契約などで2008年9―11
月期に140億円の評価損が発生する見通しだと発表した。
デリバティブ取引では日本ハムなども損失計上しており、
米国発の金融危機の影響が企業業績にも影響を及ぼし始めた。

 損失は営業外費用に計上され、09年8月期の連結経常損益は赤字になる見通し。

 同社によると、デリバティブ契約は07年10月、08年2月の2回結んだ。
オーストラリアから食材を輸入する際に必要となる豪ドルを調達するのが
目的だという。原則として月に1回ずつ100万豪ドル受け取る内容で08年9月から
支払いが始まった。
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会社側のリリース

平成20年 11月21日 デリバティブ評価損発生見込みに関するお知らせ




今期連結経常利益80億円の計画でしたので、営業外の損失加算すれば
▲60億円。

今回の損失は評価損ということなので概ね将来損失が
カバーされているとは思いますが、
会社側の想定が1豪ドル=65円、足下価格=60円ですので、
まだまだ安心できないと思います。




それにしても、
結果論だけで問い詰めても意味がないとは思いますが、
会社側は「最悪のケース」もしっかり吟味しての契約だったのでしょうか。



一方、倒産・巨額損失事件のウラにBNPパリバあり。
まっ、今回は契約したサイゼリアの責任が大でしょうけどね。
死神のように見えてしまうのは私だけでしょうか?





契約とはいえ1豪ドル最大600円・・・・・。
オージービーフ、ホント高くつきましたね。

であれば、
サイゼリヤもこの際、開き直って、宣伝に使えばいい。


たとえば、

「お客様のために、世界最高クラス(の為替で仕入れた)オージービーフです!」
アピールしたり、


新メニューを開発して
「クーポンスワップのデリバティブあえ」。
(何じゃい、それ)



「デリバティブ還元フェア」とかやって、
当たりクジを引いたお客様は、支払いを2倍にさせるとか。

・・・お客様に、本場仕込みのスリルとサスペンスを体感させてみればいかが?




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4 コメント

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Unknown (ろくすけ)
2008-11-22 22:57:31
はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。
日本の金融機関であれば、こんなリスクの高いデリバティブは売らないでしょうに。やはりここまでギャンブルをしないと、あれだけの安値提供はできないということ?こりゃあ真面目に歩留まり改善や作業改善に取り組んでいる社員は白けるよなあ。過去ホルダーだった時期もあるだけに、残念です。
弱肉強食の世の中とはいえ… (ぐうたら)
2008-11-23 19:55:41
BNPパリパの営業担当者は、この契約で10億円を超えるような「出来高払い」のボーナスとなるのでしょうね。今ごろどこかで祝杯でもあげているのかもしれません。

外資系金融機関とのデリバティブ取引の契約は、表面上は有利なように見えても、実際には恐ろしく不利な内容になっていることが多いですね。

プレスリリースの資料にデリバティブ取引の契約内容が開示されていましたが、金融工学を少し勉強した程度では時価を計算できるような契約ではない(地銀レベルでは時価の算定は不可能でしょう。主要行クラスでも難しいかも…)と感じます。

先日も某大学がデリバティブ取引で大損という報道がありましたが、このような取引をさらに金融工学の知識が乏しい事業会社、学校法人、地方自治体相手に営業して儲けるという、一部の外資系金融機関のビジネスモデルは何とかならないものかと思います(80歳以上の高齢者にレバレッジ300倍のFXをさせるようなものです。)

弱肉強食の世の中とはいえ、取引先の知識の不足につけこんで暴利をむさぼるというビジネスモデルは、普通の日本人の商道徳の観念からは許しがたい行為です。
BNPパリパは大もうけ! (愚痴を聞いてくれ)
2008-12-02 09:53:28
ぐうたらさんのコメントに賛成。
アーバンコーポレイションが潰れたのもBNPパリパの転換社債型新株予約権付社債(CB)300億円分を行ったから。アーバンには300億円調達出来そうな事を言いながら実際には92億円しか手に入れられないなんてそりゃサギだっちゅうの。

海外の企業は、「情け容赦なく取れるところから取る。」事に忠実ですし、どんな無茶なこともダメ元で取りあえず言いましょう。受け入れなければその時考えましょ。が基本のような物です。
がっぽり取ったら他の企業に牙をむける。なにせ狩猟民族ですから!
農耕民族の日本のように長いお付き合いで利益を少しずつ貰うような考え方ではないです。
そこら辺の違いでしょうね。
しどい・・・ (kaz)
2008-12-15 12:51:24
こんな契約だとは、社長もきいてなかったのでしょう。
パリバは汚いですね。

こうなったら、サイゼリア側も、錯誤による契約無効を
主張して、裁判所に訴えたらどうでしょうか?
もしかすると和解して、ある程度戻ってくるかもしれませんし。

・・・・それに、裁判をおこせば、この140億騙し取ったパリバ社員への数十億のボーナスの支払いを延期させることが出来るので。

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