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駒大てんてこまい ~運用損154億円の衝撃

2008-11-20 | 会計・株式・財務
お疲れ様です。


またもや意味不明の表題ですがダジャレのつもりです。
お分かりになりましたでしょうか。



そうです。



楽天・マー君こと田中投手の母校「駒大苫小牧」高校にひっかけたんですけど・・・・・・。


あっ・・・北から強い寒波が。




まずは毎日新聞
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■金融危機:駒大、運用損154億円

 駒沢大学(東京都世田谷区)がデリバティブ取引で154億円の損失を
出していたことが分かった。世界的な金融危機の影響を受けたといい、
損失を穴埋めするため、大学キャンパスなどを担保に銀行から110億円の
融資を受けた。

 大学によると、昨年7月に外資系金融機関2社との間でデリバティブ取引の
「金利スワップ」と「通貨スワップ」の契約を締結した。
契約額は約100億円。しかし、金融危機で円高が進んだことなどから、
特に今年9~10月になって損失が急拡大。同月末に解約したが、
最終的に損失額は154億円に達した。

 今月2日の臨時理事会で、損失を埋めるため銀行から融資を受けることを決定。
世田谷区内の深沢キャンパスの土地建物と野球部グラウンドの土地などを担保に、
みずほ銀行から110億円を借り入れた。
同大の昨年度末の資産総額は約940億円。
小林清次郎総務部長は「不安を与え、おわびを申し上げなければならない」
と話している。
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この記事を見て私は、金融ビジネス最新号(2008年秋号)にあった
「大学の財務戦略」という特集記事を思い出しまして、
本棚から引っ張ってきました。

金融ビジネス 2008年 11月号 [雑誌]

東洋経済新報社

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p.132から参考情報を引用してみますと・・・・

これまでの私立大学の資産運用は、ペイオフを皮切りに
銀行預金中心から債券運用に移行し、
さらに大学全入時代の財務基盤強化を目的とした、仕組み債運用へとシフト。

この資産運用スタイルが成功したおかげで、現在の私立大学の経営は、
一定程度の資産運用収益を前提とした収益構造に変化。

そのために昨年度の金融商品の時価下落は、
大学財務に少なからず影響を与える結果となったそうです。



まっ、仕組み債運用の延長線上に、デリバティブ博打が
あったということなのでしょう。


同誌のp.145にはアンケート回答に基づく、
「08年3月時点での私立大学の有価証券評価損ランキング」が
掲載されておりましたので、ワースト10を転載します。


ただ、実名を出すとアレなので、リンク形式にします。
ちなみに・・・・駒大は3位(評価損▲82億円)でした。

▲82億円の中にデリバティブ評価損が含まれているのかどうかは不明ですが、
既に3月段階で今回の「危機の芽」があった可能性は高いですね。
仕組み債の評価損をデリバティブ博打で埋めに行ったのかも知れない。


・・・・他の大学、大丈夫でしょうか。3月から相場環境悪化してますからね。



①時価不明、評価損▲226億円
(さすが王者。付属高が明治神宮大会で優勝で選抜確定。何で強いの?)


②時価455億円、評価損▲97億円


③時価124億円、評価損▲82億円


④時価179億円、評価損▲69億円(経営・金融リスク科学科の名が廃る?)


⑤時価446億円、評価損▲37億円

⑥時価202億円、評価損▲36億円


⑦時価111億円、評価損▲22億円


⑧時価268億円、評価損▲21億円


⑨時価193億円、評価損▲21億円

⑩時価120億円、評価損▲20億円


ところで、学校法人会計基準にはまだ保有資産時価評価が導入されておりません。

まさに見直しが行われておりまして、
文部科学省の「学校法人会計基準の諸課題に関する検討会」が
来年4月の答申に向けて現行制度の問題点整理を進めているとのこと。

今後の議論次第では、大学の財務・資産運用にさらに大きな影響を与える
可能性があります。


金融商品時価評価の問題は、金融機関のみならず、
思わぬ方向へ飛び火してしまいました。



それはそれとして、くだんの駒大に話を戻しますと・・・・・


「大学概要」のページのメッセージが皮肉がきいていて面白い。

「未来には、人類が経験したことのない、
新たな問題や課題がたくさん待ち受けています。

それを解決するための力を身につけるにはどうしたらよいでしょう。

 ヒントは、過去に学ぶこと。」



・・・・・駒大さん、あなたこそが、これまで世界で起きたデリバティブ損失事件と
その恐ろしさを学ぶべきだったんです。

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1 コメント

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駒大はまし (仕組み債)
2010-07-05 08:57:56
駒大は全然まともです。なぜなら失敗を認めることができたからです。ほかの自治体や外郭団体、大学などきちんと精査すると潰れるところが出てきますよ。吉本先生の本を読んでください。

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