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Cradle of Love

定年まであと〇年。

日を追って進んでいく、知力体力の衰えに抗い
何とかこのまま、定年まで逃げ切りたいと
必死に食らいつき、仕事に追われる毎日。

そんな日々を過ごしながら、ふと自分の人生を振り返る。
後悔先に立たず。

朝、洗面台の鏡の前で、自分に言い聞かせる。
俺はまだ、死んじゃいない。
眼は死んでるけど(笑)

仕事から帰宅し、ちょっと一杯やりながら
YouTube で大好きな洋楽の動画を見て、疲れた心を慰める。
それが唯一の楽しみ。

自分の人生を振り返って、はっきり言えること。
青春の思い出が詰まった、音楽のパワーに、幾度となく救われてきた。
それしかありません。



UK のシンガーソングライター、Billy Idol(本名:William Michael Albert Broad)。

英国と米国の市民権を持っているとのことだが、生まれ育ったロンドンの地でデビューしブレイクした経歴からして、UK のアーティストと見てよいだろう。

1976年、Generation X という名のパンクバンドを率いて、音楽シーンに登場。
その後、1982年のアルバム 「Billy Idol」 でソロデビュー。
続く 2nd、3rd アルバムのヒット連発により、ソロでも名声を確立するに至る。

1983年 「Rebel Yell(反逆のアイドル)」
1986年 「Whiplash Smile」

自分も当時、80年代洋楽人間として、Billy Idol の活躍は見聞きした。
短波ラジオや MTV でリプレイされる、数多のアーティストの名曲に
胸躍らせていた、高校時代のあの頃。

ただ、Billy Idol は、そんな自分の熱気からは、遠く離れた存在だった。
パンク的な楽曲もさることながら、あのビジュアルが受け付けなかった。

代表曲 「Rebel Yell(反逆のアイドル)」 の PV も、当時好んで見ていた MTV 系の番組で目撃したことがあった筈だが、何ら気持ちが向かうことはなく、触手はピクリとも動かなかった。

in the midnight hour
she cried more, more, more
with a rebel yell
she cried more, more, more


はぐれ者の 絶叫と
もっともっとと せがむ女の 哀願が
交錯する 真夜中

戦闘的なパンク・ロック・ファッションで身を固め、
『ワーオ!』 『ギャーーーオ!』 などとひたすらシャウト。
ガッツポーズの連打連打。
頼りになる相棒、スティーブ・スティーブンス(Steve Stevens)のギタードライブが唸る。
俺たち最高だぜ。
みたいな。

言うなれば、「愛しあってるか~?」「イエ~イ!」 あれと同じ世界にしか思えず、
「だからどうやねん」 という感想しか、当時はなかった。



ところがどうでしょう。

あれから30年以上が過ぎ、人生に疲れて、いろいろと擦り減ってきた昨今(笑)
ある日、仕事から帰宅してちょっと一杯やりながら、
「Rebel Yell(反逆のアイドル)」 の PV を YouTube でたまたま見たところ ・・・・

「元気が漲っていく」 という感覚を、そのとき久々に味わったのでした。

アントニオ猪木ではないけれど、人々に元気を与えることの価値は、いつの時代も同じ。
昔は正直ちょっと馬鹿にしていた Billy Idol の世界も、間違いなくそうであったのだということを、自分はこの歳になってようやく理解できた。

そんなことで、思いがけず身近な存在となった Billy Idol だが、今回の記事では、1990年のソロアルバム 「Charmed Life」 から出たシングル 「Cradle of Love」 をイチ推しとしたい。
要は、自分は Billy Idol の曲でこれが一番気に入っているということだ。

1990年 「Cradle of Love」

「Rebel Yell(反逆のアイドル)」 と同様に、「Cradle of Love」 もビートが痺れる麻薬のような一曲で、元気をもらうことができる。

もう一つ、「Cradle of Love」 には、おっさんの心を一瞬で掴んだ要素がある。
曲中で繰り返される "Cradle of Love" のフレーズを歌うときの Billy Idol の表情だ。

表情ということは PV を見ないと分からないが、残念ながら、「Cradle of Love」 の PV は今現在、自分の知る限り YouTube で見ることはできない。
以前は非公式のものを見ることができたのだが、削除されたようだ(Wikipedia によると、映画 「The Adventures of Ford Fairlane」 のワンシーンが PV で使用されている的なことが書いてあり、権利関係で削除されたのかも)。



その PV の内容自体はといえば、気が優しくて温厚な男の家にある日突然セクシーな小娘が押しかけてきて、ダンスを踊りながら一枚また一枚と着衣を脱ぎ捨て、男を誘惑する。
男はただ戸惑うばかりで、しかしチラチラと気になって、心が触れ合う、恋の予感?
という、しょーもない内容なのだが(笑)、それはさておき。

曲の前奏が終わり、"Cradle of Love" の2回目のフレーズを歌う、Billy Idol の表情。
日本人には苦手な r と l を発声するために、口の中で舌がモゴモゴと動く、あの感じ。
タラコのイメージが思い浮かびましたね。
それが、「俺たち最高」 のドヤ顔と妙にマッチしていて。



これを最初に見たとき、端的に言って、自分は果てしなくニヤけた。
そして間違いなく、元気のエキスをいただいた。
というわけです。

今の YouTube の時代、Billy Idol も公式チャネルを開設している。
何だかんだ言って 「Rebel Yell(反逆のアイドル)」 が再生回数ぶっちぎりなのかと思いきや、「Eyes Without a Face」 が2億回超えでトップとなっている。
これもある意味で、自分には興味深い現象に映る。

Billy Idol - Rebel Yell (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=VdphvuyaV_I

Billy Idol - Eyes Without A Face (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=9OFpfTd0EIs
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