団地小説短編集を歩く

団地小説短編集の舞台を歩きながら団地や地域の魅力をお伝えします。

小説君影小唄 3 鈴蘭台ダンスホール跡(追記) 君影団地((鈴蘭台第5)の電車?

2017-02-17 18:34:19 | 日記
      鈴蘭台ダンスホールの記述を見つけました

   鈴蘭台ダンスホールに関してネット上で検索出来る唯一の記録は、神戸大学電子図書館システムによる

  大阪朝日新聞の昭和11年10月15日の記事で17日9時から鈴蘭台桜ヶ丘グランドで”第1回鈴蘭台住宅

  運動会”が開催される。プログラムの中に‥‥▲生活難競争(青年、鈴蘭台ダンスホール連中)‥‥のみです。

   当時の雰囲気がわかる記事ではありますが鈴蘭台ダンスホールについては全く手がかりが有りませんでしたが

  たまたま神戸新聞総合出版センター刊「兵庫の鉄道全駅」の鈴蘭台西口駅で鈴蘭台ダンスホールの記述を見つけ

  ました。

   昭和9年に完成、昭和11年に隣接地に新駅が生まれ「鈴蘭台ダンスホール前」と名付けられた。広さ170

  ㎡と余り大きなものでなかったが、紳士淑女のサロンとしてにぎわった。昭和12年の調査でダンサー29人、

  1日の平均入場者82人(内務省警保局調査)という記録が残っている。昭和13年に焼失、その後料理旅館が

  建設され昭和16年まで営業を続けていた。(要約)とあります。

   地元の新聞社の出版物ですので建設年・面積・営業・焼失年の数字は正しいと思われます。所在地は駅から

  100メートルほど離れています。焼失後に料理旅館が建設されたとありますが、前回「君影小唄小説 2」

  (2016.11.17投稿)に書きましたが旅館の付属施設として鈴蘭台ダンスホールがあったと考えます。

   根拠としては、1.証言がある。2.焼失した鈴蘭台ダンスホールの基礎は後々まで残っていた。火災の後に

  旅館を建てたのなら撤去しているのでではないか。3.旅館は大きな建物であり時代的に大きな料理旅館を作る

  様な時代ではないと思われる。記事中の生活難競争は借り物競走の洒落でしょうか。青年とダンサーとによる

  借り物競争?しかし名前が時代を反映しています。

   買収された旅館は大きかったので空襲目標にならないよう黒く塗られます。これによって「小説君影小唄 1」

  (2016.11.1投稿)に書いたように森の中にあるドラキュラが住んでいるかかも知れないと子供達に恐れられる黒い

  洋館になります。
  
   全くの私の想像ですが、昭和17年4月17日神戸は空母ホーネットから飛び立ったB25一機による初めての

  空襲(ドーリットル空襲)を受けます。空襲の脅威が現実のものとなり、神戸海上火災は会社の疎開先の一つとして

  休業中の旅館を買収します。それが戦後、海上火災の福利厚生施設となったのではないでしょうか。


   小説君影小唄 5 鈴蘭台ダンスホール跡確定 検証川重輸出車両積出し 他(2017.12.29)があります。


         君影小唄の話

   小説君影小唄は君影小唄が小説化されたものです。昭和三十年代・四十年代によくあったヒット曲を映画化する

  (君影小唄はヒットしていませんが)と同じパターンです。もちろん曲もありますが音符を書く機能があるのか

  ないのかすらわかりませんので今回は歌詞のみの紹介します。

              君影小唄
  
     北や南は  五葉の松よ  私待つのは  君の影

       人の噂は  鈴蘭の花  小首かしげて  花が咲く

          君影団地の  電車ごっこは  鉄橋渡って  トンネルも

            電車ごっこに  子供を乗せて  私あなたと  駅で待つ

   少し解説をします。神戸電鉄西鈴蘭台駅周辺は日本住宅公団(現 UR都市機構)によって開発されました。

  駅の北は北五葉、駅の南は南五葉、その南は君影町と名付けられました。五葉はこの付近の字名から名付けられま

  した。君影町は鈴蘭の別名、君影草からきています。君影団地は居住者の皆さんによる鈴蘭台第五団地の愛称です。

   北五葉や南五葉は所詮は五葉松、なんて野暮ったい地名でしょう。君の影(あなた)を待つ私の君影町は名前から

  してロマンチックです。と言ったところでしょうか。

       次は君影団地の電車ごっこの説明です。

        

        君影団地の電車ごっこは          トンネルも

        

        鉄橋も                  スイッチバックまであります

   鈴蘭台第五団地は戸数1,536戸、敷地面積約16.54ヘクタールの広大な団地です。特に緩やかな北側斜面

  に在るため多くの緑地を含み他の郊外型団地に比べても大変に広い敷地面となっています。住宅は大きく3つの住区

  で構成されてトンネルや鉄橋のある線路(歩道)結ばれています。ではターミナル駅は何所にあるのでしょうか。

        

   大きなプラットホームが見えます。旅番組で見る昔は栄えた地方の幹線駅のようにも見えます。いやこれは団地PR

  ブログとしては禁句です。昔はここに一日の売り上げがウン十万円という伝説の八百屋さんを始め9店舗が並び多くの

  買い物客でまさにターミナルの賑わいでした。線路はここを起点に団地内に張り巡らされていました。写真に右は最初の

  分岐ポイントです。

   線路はどこまでも続きます。

        

   本物の線路ではあり得ない5差路です。      トンネルを過ぎてどんどん登ります。

   ターミナル駅の26号棟は団地の北東の端になります。ではなぜ店舗が団地の端なのでしょうか。

        

   秘密はこの階段です。26号棟の北にはアプト式にしてスイッチバック、つまり写真の階段があります。この階段下

  からは神戸電鉄鈴蘭台駅に約1,100メートル、つまり鈴蘭台駅まで徒歩で通勤通学出来る設計になっているです。

   線路の写真ばっかりでしたが鈴蘭台第5団地の魅力の一端を感じて頂けましたでしょうか。26号棟の店舗は現在も

  営業しています。鉄橋の下のバスは神鉄バスです。(バス停は陸橋下です。)この路線は団地バスとして当初自治会に

  よって始められました。便数も多く鈴蘭台第5団地の魅力の一つとなっています。皮肉なことにこの便利なバスが団地

  の商店街の衰退を招くことになりました。鈴蘭台と西鈴蘭台には多くのスーパーがあります。また16号棟の向かいには

  トーホーストア君影店があります。

           鈴蘭台第5団地の詳しいことはUR都市機構のホームページをご覧下さい。

                 西鈴蘭台駅前に現地案内所現地案内所もあります。



       「団地小説短編集を歩く」は団地小説短編集の舞台となった10の団地の魅力を伝えるブログです。

              小説君影小唄は鈴蘭台第5団地が舞台ですので鈴蘭台のページです。

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