変化しても鳴くヒノキの声は、死後も魂が実在する合図

林業をされる人の証言として、伊勢神宮の遷宮（せんぐう：２０年に１度、全ての御宮の立て直し）に使用される「桧・ヒノキ」の御神木を切り倒す時、木がとても大きく鳴くそうです。

これは、御用材となるヒノキを切り出す『御杣始祭（みそま　はじめさい）』という神事を、御神木を切る前に丁重に行うことも関係すると思います。
とにかく、いつものヒノキの伐採の時よりもひときわ大きく、
「ギィー、キィ～～～」
と倒れるまで鳴り続けるそうです。

まさに、木に命が存在することを感じさせます。これは厳粛で神聖さを感じさせるヒノキの鳴き声であり、決して嫌な感じの響きでは無いそうです。
私はこの話を聞いた時に、思い出したことがあります。

それは、伊勢神宮では日々に神様の御食事を作り捧げています。
この時に御宮のヒノキの扉を開けますと、
「ギィー、キィ～～～」
と扉から音がするわけです。

この音が、日によって変わるそうです。この扉の音が鳴ることが古来から重要であるとされていると聞いています。
この扉の音は、神様からの合図、または食事を持参したことを神様にお知らせする合図、とも感じます。

すると、伐採される時に大きく鳴いたヒノキは、それで死んだのでは無くて、「扉に変化して」今も同じように鳴いて生きていることに気が付きました。

実際にもヒノキは、伐採されて１００年目以降から更に強度が増すという性質だと聞きます。
年輪が糸のように細かいヒノキは、千年木（伐採後に１０００年保つ木）とも言われます。

ヒノキが形を変えても同じように鳴いてくれる話から、人間の生死も、肉体は腐ちて変わりますが心は不変であることを思います。
伊勢神宮の重要な思想に、「常若」（とこわか）があります。

常若とは、
＊　常に若いこと
＊　若さは永遠であること
＊　常に「今が」基準と成ること
＊　命の不変性・永遠を意味すること
です。

ヒノキが鳴く話は、この常若にも通じることだと感じます。
「三つ子の魂百までも」。つまり、私達は年をとっても、そのサガ・性質は変わらないということです。
そして、今はまだ３歳でも、前世はコノ世で１００歳まで生きたのかも知れません。
心だけが共通し、見掛けだけがコロコロと変化をして行くに過ぎません。

つまり、人間は本来は、本当に大切なことは学ばなくても「既に知っている」と言えます。
誰もが、「思い出すだけ」なのが悟りの正体だとも言えます。
ただ、簡単には腑に落ちない（思い出せない）、のが人生です。

とにかくヒノキが形を変えても生きて行く事例から、私達も自分の心が永遠であることを思い出して置きましょう。
だから、慌てることは無い。
安心して、生きて行きましょう。

生かして頂いて　有り難う御座います

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