建て直そう日本・女性塾

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女性塾第7回研修会報告

2006年10月19日 08時52分44秒 | 研修会報告
         建て直そう日本・女性塾
      第七回研修会 平成18年9月9日 開催
            於:虎ノ門パストラルホテル
        テーマ「我が国が当面する諸課題」
         中山 成彬氏(元文部科学大臣)
≪略歴≫
昭和18年、宮崎県生まれ。東京大学法学部卒、大蔵省入省。昭和57年大蔵省を退官、政治活動に入る。昭和61年衆議院初当選。文部政務次官、経済産業副大臣、自民党副幹事長などを経て平成16年文部科学大臣に就任。奥様は中山恭子・元内閣官房参与。

[自己紹介―生い立ちから]
 高千穂の峰が連なる草深い宮崎県小林市、旧薩摩藩だったところですが、ここに農家の5人兄弟の長男として育ちました。台風の常襲地帯でせっかく実った米が一晩でだめになることも多く、両親が嘆いたものでした。
 そんな環境でしたから家の手伝いは当たり前で、牛馬の世話、山羊や羊、猫に至るまで私の担当でした。わらを切ったり、田んぼの見回り、夕食の準備など、忙しい両親の手助けをいたしました。
 母親に「勉強しろ」といわれて殺したという痛ましい事件がありましたが、私は親に
「たまには勉強しろ、といってくれ」という注文をしたものでした。
 中学校に入り、野球部に入りたいと思いましたが、「牛馬の世話は誰がするんだ」といわれ諦めました。親もつらかったろうなと思います。私も特に不満とは感じませんでした。
 そうして中2の秋、野球部の顧問、竹下先生に突然、来年の夏まで入部しないかと誘われました。2つ下の弟ももう家の手伝いができるころになっており、両親も許してくれました。入部の日、部員の前でこの竹下先生は「中山君は4番でキャップテンだ」と紹介されたのです。少し自慢になりますが・・私は農家の手伝いで日頃から鍛えており、足も速く、走り高跳びの記録もあり、授業のソフトボールでも活躍していたのです。冬の間、野山を駆け回って鍛錬して夏の大会では打率6割2分5厘の成績をおさめました。そのころは野球で身を立てるつもりでいました。
宮崎県には森永貞一郎という東大から大蔵省を経て日銀総裁をされた方が居られ、私を見込んでくださり、進路について校長先生に何度もお会いされたそうです。私立高校へ進学することなど無理な環境でしたが、私が世話をしていた子牛が1等になり、30万円―今だと300万以上の値打ちでしょう-で売れたことなど運にも援けられ両親がくれた小さい頃からの貯金と合わせて、鹿児島ラサール高校へ入学することができました。
高2の頃、社会党議員の浅沼氏が刺殺される事件がありました。武道のたしなみがあれば、一命は取り留めていたかもしれない、という話を聞き、野球より武道だ、と思い、空手と合気道を始めました。その後精進して、空手2段、合気道3級を取得していたのですが、大臣になると名誉段位を得、空手6段、合気道3段をいただきました。いいのかなとも思いますが、おそらく闘うこともないでしょうから、大丈夫でしょう・・・
この高2の冬、1月9日父が急死しました。余裕のある家ではありませんので、農家を継ぎ、大検を受けようと思っておりましたら、このころ特別奨学金の制度が始まり、授業料も免除という恩恵に預かり、学校を続けることができました。
貧しい中で苦労もありましたが、運もよかったのでしょう。

昭和40年大蔵省に受かりました。その中に1人だけ女性(中山恭子・元内閣官房参与)がおり、私を「食事に行きませんか」と誘ってくれました。強調しますが、誘ったのは私ではなく家内の方が先だったんですよ。東大の仏文科で外交官を目指していた彼女は、試験には合格しても採用されなかったのです。外務省は一時期女性を採らないことがあったのです。当時の外務大臣福田赳夫氏の勧めで大蔵省を受けなおすことになり、いつも図書館で勉強して入省した仲間たちとも顔なじみだったようです。私はほとんど道場に行っていましたから顔見知りがいません。家内に言わせると私がぽつんと一人ぼっちで可哀そうだったから声をかけた、そうです。

40歳になり、大蔵省を退官して政治家を目指しました。衆議員選旧宮崎2区より初出馬したのですが、500票あまり足りなくて落選しました。家内は優れた女性ですので、選挙に使うのはもったいないと思い、単身でがんばりましたが、なかなか難しく初当選は昭和61年です。
 
大蔵省で働いていた頃、上のほうのはからいがあったのでしょうか、私は世界銀行、家内はIMF、と同時期に米国にいくことになりました。小学校に入ったばかりの英語など全く話せない子供を現地の学校にやりました。お陰さまで子供は自然に愛国心が育ちました。外国にいると自分を日本人として意識します。アメリカの地図は当然合衆国が真ん中にあり、日本は隅っこに小さくなっています。中国の前に弓のように位置しています。我が国のけなげさが愛しくなります。子供にとってもいい経験だったと思います。

国際交流基金が生まれ、家内にウズベキスタン大使の話が舞い込みました。私は1人暮らしは慣れておりましたし、彼女も外交官の夢が叶えられるチャンスでもありお受けさせました。
そこでキルギスの人質事件が起こりました。犯人は人質を1人ずつ殺すと脅しをかけ、緊迫した情勢でした。彼女は深夜私に悲鳴に近い電話をかけてきました。外務省からは現地の政府に任せて動くな、という指示だが、このまま手を拱いているわけにはいかない・・私は大使の責任で助けられる可能性を探るべきだ、とアドバイスしました。
女性というのは強いものですね。彼女は単身で、タリバンの一族の親分のところへ行き現地の通訳を交えて交渉したのです。人質は解放されました。
 ウズベキスタンもそうですが北朝鮮も共産主義の独裁国家です。国民が自由にものいえるところではありません。我が国のように思っていることをいえるところではないのです。  北朝鮮から拉致された5人が解放させましたが、外務省は北朝鮮の要求に従い、本人の意志があれば、いったん返すべきだ、という考えでした。しかし「本人の意志」など確認しようがないのです。不当に拉致された国民を国家の意思でとどまらせることが当然なのです。このときも彼女は筋を通しました。たいした人です。それにしても外務省の無責任体質は困り者です。
根本から改革する必要性を感じます。

[次期総裁への期待]
 先日、総裁選の出陣式がありました。候補者はそれぞれスマートで弁舌さわやかでした。しかしどうも物足りない、お三方ともおぼっちゃまで草いきれのにおいがしない、政治家も二世・三世が多くなり、ひ弱な感じがいたします。
 
 私は小泉さんはよくやられたと思います。5年前株価は7000円台にまで落ち込んでいました。当時どこの銀行がつぶれるか、保険会社がだめになるか、戦々恐々でした。それが今株価16000円まで回復しています。経済再建が優先課題でしたからその意味でも成功でした。
 ただ、地方にいきますと怨嗟の声が強いです。経済格差が広がっています。地方は公共事業に頼っていましたから、中央からの予算が切られると立ち行かなくなるのです。小泉内閣での地方分権は、がんばっているところはいいのですが、宮崎県などは有効求人倍率1未満です。なかなか仕事がありません。一番高いところは愛知県です。
多くの企業が中国に進出し地方での誘致が進まないのです。しかしチャイナリスクといわれるように外国で高いリスクを負うより、国内にとどまることのメリットを考える時期に来ていると思います。
 団塊の世代が定年退職する時期ですので、人も企業も地方へ移って、もう一花咲かせるつもりになれば活性化の道が開けるのではないでしょうか。農業へもチャレンジしてもらいたいです。
 中国からの輸入品の残留農薬が問題になっています。ほうれん草や生シイタケなど輸入禁止になりました。農産物だけではありません。先日土用丑の日で、駅弁を買おうとしたら中国産のうなぎが輸入禁止で、お弁当が作れなくなったという話を聞きました。日本の食糧自給率は40%ぐらいです。食べ物を輸入に頼っていたのでは危険です。農政は重要です。私も小泉さんに次は農林大臣にして欲しいとお願いしたことがありました。細田さん(当時官房長官)も「それはいい」といってくれたんですが・・
 安心・安全な食を国内で確保するために政治が動かなければなりません。

 小泉首相の靖国参拝が議論になりますが、中韓が問題にするから行くべきではないのではなく、問題にしているから行くべきなのです。小泉さんは立派でした。
 日本のマスコミは時の政権を批判することが役目なのでしょうが、そのため主張が中韓と同じになっています。中韓にしてみれば、日本というのはなんて御しやすい国なんだろう、と思うでしょうね。中韓は一枚岩です。日本は多様性の国です。あちらにとってみればやりやすい、楽な相手に見えるでしょう。日本のマスコミが味方ですから。
 そのことを谷垣さんは分かっていない。安倍さんと麻生さんはしっかりしています。
 先日大連に行ってまいりました。すごく発展しています。日本が十年かけたところを半年でやっている勢いです。高速道路が瞬く間に通っていました。中国はどこも国有地ですから、住民の意思等勘案せず、そこのけそこのけ道路が通る、やり方が出来るわけです。農民は国民とは思われていないような乱暴な開発です。主要都市と農村の格差は著しく、大きな不満を抱えています。共産党が日本をやっつけた、そして中国を発展させてきた、という反日教育をやっています。日本人は鬼畜であるような教育をしていますから、日本に来た留学生などは、はじめは怖がっています。交流しているうちにだんだん分かってくるようです。中国民の不満の捌け口に反日が使われていることを考えなければいけません。
私の発言はよく新聞社から「妄言」だと叩かれます。大臣在任中も韓国の方が大挙して大臣室へ抗議に来られました。私は、「私の故郷の南郷村というところに百済の里がある。1300年前から毎年お祭りをしてきました。一方中国では高句麗はなかったといっている、どっちが韓国のことを思っていると思いますか」とお話したところ、静かに帰っていかれました。

宮崎のゴルフ場が韓国に買われていまして、韓国は冬場凍ってプレイができないのです。韓国は今大変なゴルフブームです。女子プロなどアメリカ遠征でも活躍しています。子供の頃からオーストラリアなどへゴルフ留学をさせるようです。5~6年前から故郷宮崎で小奇麗な女性を見かけるようになり、すれ違ったら話しているのは日本語ではなかったのです。
実は領土問題は竹島どころではないのです。今後労働力が自由化されると、国内の中に租界地ができ、日本人が排斥されるような事態になることも予想されます。韓国人は宮崎で実に元気がいいのです。
台湾は日本人が好きですね。私は台湾で講演の依頼を受けています。10月に新幹線が開通します。台湾ではお年よりは朝公園で体操をやるらしいのですが、それが終わった後日本の歌を歌うそうです。韓国とは違って、日本人が台湾の発展のために力を尽くしてくれた、新しい国づくりをしてくれた、と伝えています。日本は台湾を大切にしなければいけません。
ところが、外務省にはチャイナスクールというものがあって、中国の顔色ばかり伺っている外交官がいます。彼らは中国大使になるのが夢で、中国に嫌われたくないようです。台湾には中国からミサイルが向けられています。ミサイルは日本にも向けられていますが、そのことに脅威を感じないのもおかしなことです。
心配なことは陳総統の身内に汚職が露見し、人気が下がっていることです。国民党に取って代わられたら中国寄りになってしまいます。
韓国のノムヒョン政権は共産党政権といっても過言ではありません。付き合いにくい相手でした。今後任期も終わり、韓国が変化することを望みます。
 中国・韓国は靖国問題があるから首相会談はしない、ということをいってきましたが、問題があるからトップは会うべきなのです。日本は今スケープゴートにされていますが、安倍さんがうまくやってくれるでしょう。

 [教育問題について]
 子供が殺したり殺されたり、大きな事件が多発しています。文部科学省もいろいろ努力しているのですが、対症療法ではなく教育の根本に踏み込まなければ、解決は難しいです。
 秋田の事件で、あの母親は自分の娘も殺しているな、と直感しました。所謂「出来ちゃった結婚」の場合うまくいかなくなったら子供に当たることが多いようです。地元の宮崎の学校でも2割が片親、東京北区では4割のところがあるようです。家庭が壊れているのです。コンビニの前で子供が空腹で倒れていることがあるのです。給食だけが命綱の家庭が増えています。昔は子供がいるから離婚を思いとどまったものでした。我が家でもそうでした。しかし今はその反対で、子供受難の時代です。
 高度経済成長のとき「金の卵」といって地方から集団就職でどんどん都会に出てきました。私の故郷でもクラスの7割が中学を終えると、働きに出ました。クラス会などで話を聞くと子供たちには家の手伝いなどさせず、勉強さえすればいいとしてほとんどが大学に行かせたそうです。「甘やかした」と反省しています。子供たちに人間として生きる大切なことを教えてこなかったジジとババの責任は大きいです。
 「ゲーム脳」の実態など研究させているところです。ひきこもりや~オタクにせずスポーツ振興を働きかけています。特に武道を必修にすること、女性もそのたしなみがあれば痴漢撃退に役立つでしょう。
 「早寝早起き朝ごはん運動」や「読み書き計算」の徹底を働きかけています。詰め込み教育はよくない、ということをいう人がいますが、小・中学校で詰め込まなくては教育の責任が果たせません。
 私は自分の名前も書けない状態で小学校に入りました。中学に入るときはA,B,Cまでしかいえませんでした。誰も教えてくれる人などいませんから当たり前ですが大変悔しかったです。記憶力はいいほうでしたので、出席簿を憶えたりしていました。今でもいえますよ。あの記憶力がよかった時期を無駄に過ごしたなあ、もったいなかったなあと思っています。
 学校では「競争は悪」という風潮が蔓延してしまって、徒競走でも手を繋いでゴールインする、ということが行われています。こういうことが子供から活力を奪い、体力・気力を失わせています。
 今、なんと短大でbe動詞から始めなくてはならないぐらいに学力が落ちています。足し算は出来るが引き算はダメ、という状況は異常です。我が国は人材こそが資源なのです。子供たちに幸せな人生を歩んで欲しい、そのためには基礎的な学問がないと、生きていけないのです。
 「押し付け」はだめだ、「競争」はだめだ、と「平等」「自由」を過度に主張される女性議員がおりますが、親心で子供達の人生に責任を持ち、幸せを願うなら、しっかりとした基礎学力を身につけて送り出すべきです。
 そういう女性議員がどんどん増えていくことを願っています。

第8回研修会お知らせ

2006年10月07日 11時34分32秒 | 研修会案内
第8回研修会お知らせ
日時 10月14日(土)午後1時半~4時半
       受付開始 午後1時から
会場 日本青年館
講師 田下 昌明先生
講演テーマ 「子供は親に何を求めるか」
参加費 2000円(当日受付にて)
対象 女性塾会員(当日入会可)
当日タイムスケジュール
   午後1時半  開会
   午後1時半~3時 講義
   午後3時~3時半 質疑応答
   午後3時40分~4時半 交流会
申し込み 女性塾メール
     FAX 04-2966-9185