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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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やっかいな副詞の扱い-属性をどう分類するか

2016-10-20 | ジャンル横断的な問題
山田孝雄の「副詞の3分類」には情態副詞・程度副詞・陳述副詞とありますが、その中でも情態副詞・程度副詞にはさまざまなバリエーションがあります。よく使われる「~と」の形の副詞(例:すんなりと)と「~に」(例:まめに)の形の副詞が語のつながる形からいっても特徴的です。
とりわけペンタクラスタキーボードにおける「でにをは別口入力」を機能させるうえで困難なレアケースとなるのが、「~と」の形の副詞です。
副詞のひとかたまりの語の境界線には「と」を含むものと「と」をオミットしてもかまわないで存在するものとがあり基準がまちまちなケースが見受けられます。
例えばゆっくりとや凛とのような副詞なら「ゆっくり+と」や「凛+と」のように分けて考えることも合理的ですが、「きちんと」「ふと」「そっと」「わざと」のようにひとかたまりの副詞として不可分に一体化しているものもあり、これが「でにをは別口入力」をするうえでちょっとした違和感につながっている場合があります。
(文法の解釈によっては「ひらりと」…のように「と」まで含めて一つの副詞と捉える考え方もあるようですが、ここでは別口入力の特徴を活かすために分離できるものは分けられるものとして話を進めます。)
さて前述のような不可分の副詞の場合は慣れが必要かと思いますが、別口入力の「と」は使用せずに「しかと」「ふと」のようにひとつづきでタイプしていくのが副詞としての本分に適っており構文解析上も好ましいのではないかと思います。
ただ、表記上の問題で「きちんと」を「キチンと」のように表記したい人のために[きちん]+[と](別口入力)のように使い分けられると配慮が行き届いていて良いです。

区切りの問題はこれでひとまず解決しそうですが、変換三属性の問題はこれまた見極めの難しそうなところです。
変換の三属性はざっくりいうと体言・用言・その他 といったところですが、副詞は主に用言を修飾するはたらきがあるので用言のカテゴリ・属性ロに割り振ってしまうと役割がかぶってしまってぼやけてしまうのではないかという危惧があります。

大和言葉の「つい」「ゆっくり」などのような副詞は叙述や様態などをあらわしているようで属性ロ(用言全般)にしたい気持ちもわかりますが、副詞は用言の前につくので一律に三属性変換をするとひとつの文中に2つも3つも三属性変換の選択を迫られることとなり煩雑になってしまうので通常変換で済ませられることはとりあえず通常変換の範疇に入れて無用な解釈の余地をなくしてしまったほうがわかりやすい…これが大前提にあります。
そのうえで「丁度」や「当分」のような漢語の副詞は属性ロで対処するのが良いでしょう。漢語の副詞は一見すると情態・様相をあらわしているので語彙の感覚からすると属性ロの用言と同じ感覚で使っても妥当性があると思います。
さらにそのうえで、イメージ的に第三の属性である属性ハの領分は時間や頻度・程度・領域を意識する言葉に関連しそうですが、「到底」などは同音異義語の「東低」(属性ハ)のほうが領域感・区分感が強いので陳述性を尊重して属性ロに分類したり、「依然」などは属性ハの「以前」と区別するためにあえて属性ロに分類されるというケースもあります。
属性分けの明確な判断基準が場当たり的であいまいなような気もしますが、同音異義語のより良い分別・さばきを第一に考えているので個別ケースに対応しやすいアドホックな構えの方がむしろ三属性変換の真骨頂の弾力性だととらえて頂きたいです。

かなりやっかいな副詞の扱いでしたが、大まかな判断基点の流れとしては

変換>通常変換ができるか(和語の副詞)>属性ロで処理できるか(漢語・擬態語副詞)>属性ハで処理できるか(漢語・擬態語副詞) となります。

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