セレンディピティ ダイアリー

映画とアートの感想、食のあれこれ、旅とおでかけ。お探しの記事は、上の検索窓か、カテゴリーの各INDEXをご利用ください。

リコリス・ピザ

2022年07月10日 | 映画

ポール・トーマス・アンダーソン監督の、70年代のカルフォルニアを舞台にした青春映画です。

リコリス・ピザ (Licorice Pizza)

リアルなアメリカを描いた作品が好きなので、楽しみにしていた本作。アンダーソン監督の作品は「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「ファントム・スレッド」と見ていますが、今回はどちらともテイストの違う青春映画でした。

主演の2人の新人俳優が、フレッシュでみずみずしく、おもちゃ箱をひっくり返したように次々と話が展開していくこの作品を、ぐいぐいとパワフルに引っ張っていました。

ちなみにリコリスというのは真っ黒いひものようなグミで、ちょっとクセのあるお菓子です。リコリス・ピザは黒い円盤=LPレコードのことだとすぐにわかりましたが、Wikiによると、70~80年代にカルフォルニアに実在したレコードチェーンだそうです。

高校生のゲイリーを演じるクーパー・ホフマンは、なんとフィリップ・シーモア・ホフマンの息子さんだそうですが、そうえばぽっちゃりしたところがどことなく似ているでしょうか。

ゲイリーが一目惚れする10歳年上のアラナを演じるアラナ・ハイムは3姉妹のポップスバンドHAIMのメンバーで、本作にはバンドの姉妹3人で出演しています。

ゲイリーは高校生ながら俳優をしていて、他にも自分のアイデアで次々と事業を始めてしまうような行動力のある男の子。ユダヤ系の堅い家庭で育ったアラナにとって、ゲイリーは自分を見知らぬ広い世界へと連れて行ってくれる刺激的な存在なのだと思います。

ゲイリーもアラナも、相手に対して年齢ゆえの引け目のようなものを感じていて、素直になれず、ほんとうは気になってしかたがないのに、押したり引いたりすれ違ってしまうのがもどかしい。

スター誕生や、タクシードライバーを思わせる映画ネタ。幅広のネクタイやミニスカートなどの70年代のファッション。当時のアメリカンカルチャーがノスタルジーたっぷりに描かれた愛すべき作品でした。

コメント (8)