こんにちは
ここは岩手県一関市のきもの屋
京呉服すがわらです。
呉服屋ですが、同時に工房もかかえていて、一つ一つ、オリジナルの一点物を製作しています。
工房の名前は「工房らくぜん」です
田舎で細々やっておりますが、これを機会に皆さんに是非知って頂きたくてブログを始めてみました。
どうぞ宜しくお願いいたします。
と、いうことで前回の続きです
ウィキペディアに織機の記事が出ていますね。
なるほど、我家にあるのは水平織機に分類されるようです。
そこで西陣織の説明もなされています。
便利だなーインターネット!
ここまで書かれているのなら細かい説明は不要でしょうが、
ここを開いたのも何かの縁かもしれませんよ、せっかくだか見て行ってください
さて
これが帯の図案で、設計図です。
勿論オリジナル。手描きでございますよ
図案(デザイン)を型に起こしてもらいました
図案には細かい方眼が引かれていて、何番目に経糸のどれとどれを持ち上げて、緯にどの色糸を通すのかが分かるようになっているんです。
この様な西陣織の草稿が伊藤若冲の鳥獣花木図屏風などの参考になったと云われていますね。
その昔、この織機は上に人が乗っていて、織り手の人がこの設計図を見ながら指示を出して、上の人が経糸を上げたり下げたりしていたそうです。
それで複雑な模様が織り込めるのですが、よっぽど息が合っていないと難しかったと思います。さぞ大変だった事でしょう。
現代では人の変わりにジャガードが乗っかっています。
こんな感じ↓
だいたい二階くらいの高さがありますから
店の天井をくり貫いて入れたのですよ。
なので故障すると大変です。狭いし暑いし、腰にも悪いです
そしてジャガードと言えば型紙ですね
これです↓
短冊状に切った ボール紙で出来ています一枚で足一ふみ、打ち込み一回分です。
それらを糸で繋ぎ合わせてあります
このようにパンチで穴が開けてありますね、これを読み取ります
穴が開いているトコ、開いてないトコ、onとoffですね、つまりコンピューターの先駆けですよ!イカス!!
意外に簡単な仕掛けですけど、これによってものすごく複雑で手の込んだ模様を織れるようになったのです。
ですが、簡単な分だけ量が膨大になります
そらもう、大変な量です。
柄が複雑になればなるほど型紙が増えるので、現場は型紙なんだか織機なんだかわからなくなるほどです。
なので、今では型の内容はフロッピーに入れています。
ウチなんかは手織りで一本ずつしか作らないのでこれで充分なのです
今時は自動で動く機械動力の力織機で量産するのが当たり前なのでフロッピーなんか普通使いませんね。
ウチみたいにフロッピー使ってまで手織りという所は本当に少ないです。
大体にして、上の人に口で指示を出さなくて良くなっただけで、基本的には原始的な手織りなんです。しかも上の人(ジャガード)はけっこう簡単にへそを曲げますからね、機械のくせに。その度に織機の上によじ登って細かい調整をしないといけません。
日々の気温や湿度で絹糸も機械もコンディションは変わります。人間もそうなんですから当たり前です。
だからといって、上がった品物は織り始めから終わりまでしっかりと同じ条件の糸の張りや風合いで仕上げないといけませんね、当たり前ですが。
経糸と緯糸の絶妙な兼ね合い、折り合い、
職人は人間以外ものとも話せないと勤まりません。
織機も道具も旧式ですが、その分糸一本一本吟味しながら織れますし、気持ちもこもります
実際、手織りの西陣織など今時そうそうお目にかかれないです
お客様にも大変喜んでいただいております。
今織ってる帯も出来上がったら紹介しますね。