皆さんこんにちは
こちら岩手県一関市の呉服店 京呉服すがわら でございます
田舎の小さな呉服屋ですが、自前の「工房らくぜん」できものを作っているんです
さてさて、ようやく出来上がりました。
「波に宝尽くしの訪問着」です。
裾だけに模様を描いた柄置きは色留袖のようですが
紋を背中に一つだけにする事で、お召しになれる場面に幅が出ます
白か銀の重ね襟をすることで色留袖として
色の重ね襟でお顔元を華やかに、訪問着としてお召しになれます。
裾模様のアップ
上前
小さな宝物達がころころと波に遊んでいます
桜色の地色に青海波の利かせ色も成功しました
うん、とっても綺麗に出来ました。
いろんな宝物を図案化した宝尽くしですが、全て意味が有ります。
まずは 打出の小槌と鍵、こちらは先日説明しましたね
これは如意宝珠
これも打出の小槌と一緒で
「何でも意のままに願いをかなえる宝」です。欲しい。
これは分銅
金の重さを量るのに使います。富の象徴ですね。
砂金袋と七宝です。
七宝は法華経で云うところの この世の七つの宝、いわば世界の全て
「金、銀、瑪瑙、瑠璃、硨磲、真珠、玫瑰(まいかい)」を意味しています。
花輪違い
この繁栄が未来永劫続きますように、
七宝繋ぎと同じ意味です。
これは丁子
昔、絹等と共にもたらされました。
漢方薬の一種ともいわれ、延命長寿を意味します
正倉院などにも保存されている宝物の一つです。
これは巻物、書物です。
知恵や知識も大切な宝物です。
傘と隠れ蓑です。
危険な事やものから姿を隠し守ってくれます。
勝負の采配を決定づける
これは軍配。
そしてこの軍配は
上がっているんです。
他にも色々ありますが、とりあえずこんな感じ。
あ、八掛けには
ほら、一寸法師
小さいけれど頼もしいこのお侍は
きっとお嬢さんを優しく守ってくれる事でしょう。
この訪問着はお母さんから娘さんに
良い波に乗れるように、好い事がたくさん訪れるように、という願いを込めてご依頼いただきました。
波濤には、あらゆる困難も乗り越える。
青海波は連綿と繋がり、続く、という意味もあります。
今回の震災では色んなことが起こって、大変な目にあわれている方々がまだまだ沢山いらっしゃいます。
今までたくさんの恩恵を受けていた海の恐ろしさも 改めて確認するきっかけにもなりました。
でも自然とは本来こういうもので、巨大で到底 人には抗えない畏怖するべき存在です。
だからこそ得られる恵みも果てしなく、私達はその中で生かされています。
私達はやはりこれからも海や山と共に生きていきます。
どうか、沢山の恵みと幸せを得られますように。