〈逸失利益について〉
交通事故の被害者に、後遺障害が残存すると加害者はその後遺障
害の内容、程度に「応じて」認定された等級(1~14等級)に
対応する金銭的補償が受けられる。この補償の一つに「逸失利益」
がある。
この「逸失利益」について考えていたことに、①「この期間(補
償認定期間)で原状回復出来るのか、この金額で損害回復できた
と言えるか」ということ、
②結局お金ではカバー出来ない面が残るのに、それは全く顧慮さ
れない仕組みになっているがこれでいいのか、例えば、利き腕の
障害が残り、従来の仕事が続けられない、と言ったことは、補償
の埒外で全く顧慮されない仕組みとなっている。つまり、金を支
払えばそれで十分、後は被害者が自分で何とかしろという制度な
のだがこれでいいのか、ということである。
これについて、一つの方向性を見た思いがしたのは、ジュリスト
No1403の46頁学習院大学教授の水野 謙氏の「逸失利益
概念に対する一つの疑問」と言う論稿である。
水野教授は、ニュージーランドの2001年事故補償法を概観し
ながら、日本法の逸失利益と言う概念それ自体、あるいは、その
概念が前提とするところの基本的な視座を再検討する余地がある、
と指摘している。
即ち、ニュージーランド法の将来に向けた社会復帰を援助し、必
要な限りで補償おを行う、との考え方に注目しているのである。
日本法の、等級認定に始まる様々な擬制を前提に、原状回復第一
主義の発想にこの「将来に向けた視点」は多くの示唆を与えるも
のだと考えている、小生の今後における交通事故被害者レスキュ
ーの研究テーマにして行きたいと思う。
交通事故の被害者に、後遺障害が残存すると加害者はその後遺障
害の内容、程度に「応じて」認定された等級(1~14等級)に
対応する金銭的補償が受けられる。この補償の一つに「逸失利益」
がある。
この「逸失利益」について考えていたことに、①「この期間(補
償認定期間)で原状回復出来るのか、この金額で損害回復できた
と言えるか」ということ、
②結局お金ではカバー出来ない面が残るのに、それは全く顧慮さ
れない仕組みになっているがこれでいいのか、例えば、利き腕の
障害が残り、従来の仕事が続けられない、と言ったことは、補償
の埒外で全く顧慮されない仕組みとなっている。つまり、金を支
払えばそれで十分、後は被害者が自分で何とかしろという制度な
のだがこれでいいのか、ということである。
これについて、一つの方向性を見た思いがしたのは、ジュリスト
No1403の46頁学習院大学教授の水野 謙氏の「逸失利益
概念に対する一つの疑問」と言う論稿である。
水野教授は、ニュージーランドの2001年事故補償法を概観し
ながら、日本法の逸失利益と言う概念それ自体、あるいは、その
概念が前提とするところの基本的な視座を再検討する余地がある、
と指摘している。
即ち、ニュージーランド法の将来に向けた社会復帰を援助し、必
要な限りで補償おを行う、との考え方に注目しているのである。
日本法の、等級認定に始まる様々な擬制を前提に、原状回復第一
主義の発想にこの「将来に向けた視点」は多くの示唆を与えるも
のだと考えている、小生の今後における交通事故被害者レスキュ
ーの研究テーマにして行きたいと思う。