広島高等裁判所は、平成27年9月2日、行政書士の「非弁行為」事案に
画期的判断.
平成27年9月2日、広島高等裁判所判決で「行政書士による非弁行為」
事案が争われ、 判決は、弁護士法72条の「法律事件」について、同条
列記の「訴訟事件、非訟事件、審査請求等の不服申立事件」と同視しうる程
度に法律上の権利義務に関して争いや疑義があり、又は、新たな権利義務関
係の発生する案件をいうと解するのが相当である。と断じました。
これは、弁護士法72条の「法律事件」に該当するというには、「単に潜
在的な対立(紛争性)が存在するだけでは足りず、当事者の対立が具体化し、
社会的通念上訴訟などを用いるほかに解決の手段がないと言える程度にまで
顕在化して、事件と呼べる程度に至っていなければならない」というもので
す(これをもって、「事件性成熟悦、紛争性成熟説と呼んでいる)。
そして、さらに
同判決は、行政書士法の解釈も行い、同法1条の3だ1項2号(現3号)
について「行政書士は業務として契約代理を行うことができ、契約書の代理
人として署名し、契約文書の修正などを行うことができることを意味し、弁
護士法72条に抵触しない範囲で契約文書の修正を行うことを許容する趣旨
と解される。」と判示している。
これらの判断は、最高裁判決(平成22年7月20日)を具現し、昭和40
年2月23日の札幌地裁判決や弁護士法の立法者担当者である福島忠男氏
(増補弁護士法/第一法規)の解釈のも沿う判決として注目されるものです。
これまで、大手損害保険会社、また、一部弁護士等が主張してきた平成25
年、26年大阪高裁判決を歪曲して主張してきた「潜在的紛議説」「紛争予見
説」等根拠が大きく覆されたことになると思います。
損保険会社やその顧問弁護士らが特定行政書士・行政書士の被害者救済のた
めの交通事故業務に対し度々「非弁行為だ」との主張を繰り返し、保険金の支
払いを渋ってきたその根拠・理由が崩壊したことを意味しています。
この判決は、今後の行政書士等の交通事故業務に大きな力を与えるもので、
被害者救済に一層の弾みをつけるものとなる筈です。