戦前、東京の下町には一町内に一件の焼芋屋があって、夏にはそれが氷屋にかわったのだそうだ。江戸時代には焼芋屋の看板に「八里半」とあって「栗に近い」という意味だという。「くりよりうまい」という当て字で「九里四里うまい十三里」と書いた看板もあったのだそうだ。(『日本大歳時記』講談社)いずれにしても少年のころの焼き芋の思い出は良い思い出である。
甘藷(いも)焼けてゐる藁の日美しく 高浜虚子(1874~1959)
「おじちゃん、今年は焼き芋しないの」と次男のお友だちが言うので、境内の隅で「焼き芋」をした。7人ほど集まってくれた。焚き火をするのに皆、大騒ぎである。住宅地では焚き火はできないので珍しいのだろう。アルミ箔にサツマイモを包んで焚き火で焼けた落ち葉の中に入れると20分もすれば焼き芋ができる。ムラサキ芋をその中にまぜておく。これは当たりくじのようなもので、これが当たると「あ、むらさきや!」とおどろく声がする。皆、焼き芋をたくさんほおばって満足してくれたようだった。
「おじちゃん、母ちゃんと妹におみやげに焼き芋もっていっていいね」という子がいた。「いいよ」というとよろこんで帰っていった。やさしい子である。この子どもたちは私の焼き芋に何歳まで付き合ってくれるだろうか。受験生になったら来てくれないのだろう。
焼き芋は五感を満足させる。先に紹介した高浜虚子の句にあるように、焚き火は「眼」を楽しませる。ときには「パン。パン。パチパチ」という焚き火の音も「耳」に心地よい。子どもたちのはしゃぐ声が、また楽しい。焼き芋の焦げたにおいは「鼻」を満足させる。人は12歳のころ食べたものを一生食べるのだそうだ。少年のころの「舌」の思い出は一生涯つづく。もちろん焼き芋は「身」に良い。人の遺伝子に組み込まれた味なのかも知れない。
坐禅会 毎週土曜日午前6:25~8:00
久留米市宮の陣町大杜1577-1圓通寺
初心者歓迎 参加費無料
詳細は電話でお問い合わせください。0942-34-0350
初回参加者は6:15までに来てください。
●学校やクラブなど団体研修 坐禅申し込み随時うけたまわります。
出張も致します。
費用はご希望に応じます。宿泊はありません。
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