マスクをするのは勇気がない!男らしくない!……頑なにマスクを拒んでいたトランプ。実際男達の多くが拒否感を示していた……。
所が……敗色濃厚となってのトランプの悪足掻きの何処に『男らしさ』って奴があるというのか?……と少々哀しくなってしまった。
今回の大統領選挙を通して……そういう幼児的で単純短絡的な『男らしさ』の呪縛から未だに逃れられない多くのアメリカの男達が垣間見えた。
コレがイギリスならどうだったろう?
トランプの様な振る舞いに及んだら……男らしさ云々よりその幼稚さに大半の人間が……ソッポを向いたに違いないと思う……。
イギリスの老舗の服地メーカーの社長が訪ねて来てくれた時……何かの話で、僕がアメリカは大嫌いなんだ!と言った時……彼は握手を求めてきた。貴方は信用出来る!と言って。
彼等は……幼稚なんだよ!と吐き捨てる様に言った彼の言葉を今も覚えている。
大学の時……アルバイトでマンション建設現場に行った。僕の大学の名前を聞いただけで現場監督はガッカリした様に言った。
○○大学?カッコだけのヘナチョコばかりだ!……と。
ソコの現場は頭が筋肉で出来てる様な△△大学のボクシング部の連中がのさばってた。
いきなりセメント担いで四階へ運ぶ作業。僕は肩に二つ乗せろと言って運んだ。二階で足が笑ったけれど意地があった。何とか四階に降ろしてトラックへ。
現場監督はムリするな!持たんぞ!と。
そこからは一つだけにしてヒタスラ運んだ。十時の休憩時間……現場監督は僕に謝った。
スマン!お前は凄い力してるな?
誤解だったと。
スポーツに限らず五歳で稲刈りデビューした田舎モンを舐めんじゃねえ!……と僕は心の中で叫んでた。
十九歳の男の意地だった。何がボクシングだ?俺達ゃこの県を陸上で制してるんだ!チャンピオンなんだよ!……と。
昼飯が終わって午後もヒタスラ運んでやった。
もうすぐ三時休憩という時に……ボクシング部の四年生のキャプテンが僕を三階の部屋の影に呼んだ。
『お前!迷惑なんだよ!』……と彼は言った。お前がガンガンやるから俺達が休めないじゃないか!……あなた達はゆっくりやって下さいな。と言うと彼は困った顔をして『頼むわ!皆音を上げてる……』
『分かりました!合わせます!』……というと彼は仕事に復帰していった。
『我、勝てり!』……現金なモノで僕に対して……現場監督は手のひらを返した様な態度で終始した。満面に笑みである。
『幼稚な演出の意気がり』を短絡的に男らしさとする連中なんてそんなもんである。
『沽券に関わる?』って事がどういう事なのか?分かっちゃいない。メンタルがガキだからである。
幼少の頃の憧れだったアメリカがどんどん詰まらない国になっていく。
カネじゃ文化は買えないって事だろう。
プライドに筋金入れるには……文化と徹底した思考の限りを尽くすこと……。
納得が来るまで自分を絶対許さないこと
……それしかない!……のである。