閑散とした店を早仕舞いして帰った。
テレビで音楽プロデューサー&ベーシストの亀田誠治が椎名林檎、スピッツ他、様々のアーティストのプロデュースのエピソードを話してた……。
六年目だったか?日比谷野音のプロデュースの依頼が舞い込んだ経緯に凄く興味を惹かれた。
彼いわく、音楽業界と音楽の聴き方がこの十年何やら大きく変化したのだと……。
グッズとか?オマケがやたら増えて、コレ付いてくる、アレも付いてくる?ってな調子で本体の音楽はどうなってるの?という思いが年々増していたと……。
ニューヨークのセントラルパークに行った時、何処からともなく音楽が聴こえきた。
コレ?何ですか?と聞くとお前知らないのか?
ここでは年に一回、一流アーティスト達の音楽を自由に聞くことが出来るんだよ……と言われた。
出演者は様々なジャンルに渡るアーティスト達。
演者も聴衆もまさにノンジャンル、ノンエイジでカネは取らない自由に観れるフリーコンサートだった。
コレが本来の音楽が持っていたシンプルな魅力
だと思った……と。
ロンドンにも似た様なフリーコンサートの日がある。
早速帰国して提案したが様々の障害があったけれどやっと実現することが出来た。
……そんな話だった。
なぁ〜るほどね?
全く同じ構図の流れが飲食業界にもある。
ラーメンのトッピングの具材でさえ直ぐパクりが行われ、何日は〇割引クーポン使えまーすとか?
人間の生身の身体に取り込む食物をカネ換算だけしてボリューム増し?とかね?
どんな信憑性があるというのか?分からない☆の数を頼りにスマホでチマチマと検索して同工異曲のアリキタリを胃袋に流し込む?
『食事という響き』が持っていたワクワク感とかドキドキ感なんて感じれる筈もなく……。
グルメ本やサイトにナビゲートされ、提案されるマニュアル評価に人間が従っている?
僕の店は……『前からこの店が気になっていたんです』、『でも中々入る勇気が出なくて……』なぁ~んてお客様が殆ど。
錆びた鉄の扉と中でもう一つの扉の二重扉にしてわざと入り難くしてあるからだけど……。
怖さ半分、興味半分。
『この店が発している拒絶感』を勇気を以て乗り越えた人が食事にありつける。
自分の感覚が『新しいを開拓をする悦び』を味わって欲しいと僕は思うのである。
ワンタッチで『曲だけをダウンロード』するとそりゃ安くして手に入る。
しかし自分の足をコンサート会場まで運び、開演を今か今かと待つ時間の悦び。
日頃の生活感から抜け出して一人自分にライブの音楽を浴びせるその臨場感とかの悦び。
音楽も飲食も供給方法はITの力も得てドラスティックに進化した。今なら?ポイントアップとかね?
『供給と需要の関係』の数量的な効率化ばかりが進化したここ数十年だけど……その機会は『単に消費するモノ』に成り下がってしまってはいないか?
コストパフォーマンスのパフォーマンスには『余韻』とか『深さ』とか『非日常的なインパクト』とか『味わい・雰囲気』なぁ~んて数量化出来ないけれど『形而上的な価値』も確実に含まれるんだぜぇ!
ソコントコ、足を止めて一回考えて見て欲しい。
案外と一円あたりのコストパフォーマンスは数十年前よりガタ減りしてるかも知れませんよ?