ドタドタの段階を過ぎて、一通り皆が業務をこなせる様になった。
すると、一人一人の個性が徐々に顔を覗かせる様になり中々面白い雰囲気になりつつある。
私立、国立、公立様々だけど……総じて頭の素材は良いのに一般常識となると殆ど真空状態というのは誰にも共通する。
何故なんだろう?偏差値から言えば結構高い学校だったり学部なんだけど……。
話していると知識が断片化?とでもいう特徴があり体系化したり知識同士が関連したモノとして脳内に収まっていない様な気がする。
受験に必要なもの以外を贅肉として扱い削ぎ落とし最低必要限度に絞って詰め込んだ結果なのかもしれないと思う。
ある意味知識は『無用の用』として仕入れられたものが徐々に相互に反応し関連づいて拡がって行くモノだけど……彼等の得ている知識は『反応しようがない状態』で孤立した状態でストックされている?といった風情である……。
様々試した結果……特効薬的に機能したのは、ムヒカ大統領のリオ会議でのスピーチだった。学生なら最悪これだけは読んでおかなきゃ?……という脅し文句も素直な彼等には凄く効果を発揮したのだった。
そして、放置しておく。
全員が……少し経ってから読みましたよ……ムヒカさんと……。
直ぐに読み終える事が出来る短いモノだったけれど、『今迄に考えて見た事がなかった』という反応でとても新鮮だった……皆、概ねそんな事を言った。
『取っ掛かり』を与えたら『彼等の面白い!』は劇的な変化を起こし始めた。
次は?……何を……でこれまた学生には定番のトマ ピケティの『21世紀の資本主義』を……。
理解出来ない所は豪快にすっ飛ばせ!と申し添えて。
義務の暗記は辛いけど……未知を思考するのはゲームの様に面白い……一人がそんな事を言った……。ただ繰り返す日々はなんか燻ってる様で印象が無かった……とも。
よし!大成功。後は若い彼等。
最新鋭の『考える葦達』である。何れ頭の中は止まらない反応が続いて行くだろう……。
男と女のゲームの参考書は実践によって自分で作らなきゃならない……。
環境や経済問題ほど楽じゃない……とオヤジの特権、知ったか顔で煙に巻く事も僕は忘れなかった。
捨てたモンじゃない?どころか彼等は拾いモンの……中々の素材だと感じている。