コレを機に発表されている重信房子の手記の一部を読んでみた。
特異な微熱を孕んでいた『あの時代』についてジャズ喫茶シャンクレールと高野悦子さんを題材に書いたことがあったけれど……。
明治大学の重信房子が社学同メンバー時代を回想した手記には労働組合の支部レベルさながらの俗っぽい主導権争いが……大事件かの様な装いで書かれていた。
『僕の想像力が膨らませていたイメージ』が一気に萎み、記録映画然とした『等身大の事実』となる様な感覚を得たのだった。
連合赤軍の永田洋子という女が『総括させ殺した』重信房子の友人遠山三枝子さんの話しも読んだ。
『革命の夢の中で死んだ女性?』遠山さん、高野悦子さんは今となっては『美しい思いと共に死ねた』幸福な人達かも知れない?……そんな事を思った。
『あの時』を生き長らえ『閉ざされたトンネル』から白日の中に引き出された重信房子や永田洋子……。
彼女達が世の中というキャンパスに乗せられ様々なイメージが剥ぎ取られると……マルクスとも革命とも全く無縁の……『若い女にありがちな熱中』に取り込まれたのに過ぎなかったと嫌でも透かし絵となって示されてしまうのを感じた。
オウム真理教事件と凄く似た構図?だと漠然と思った。
世の中の日常の中に…『大小様々のトンネルの入口』がある。
学生運動と革命という魅力的なトンネルもあれば、釈然としない思いで気迷っている若者に……静かに囁き掛けてくる『悟りの誘惑の声』が洩れ聞こえ来る新興宗教のトンネルもある。
『トンネルビジョン』は何もネットの中だけじゃなく、ふと踏み込んだそんな世間のトンネルの中でも繰り広げられている。
閉ざされ限られたトンネルの中の日々変わらぬ風景に幽閉され、毎日聞かされ続ける『同類の同じ目標、ルール、主張、ソコだけの正義などなど』が『エコーチェンバー効果』で彷徨する人の意識を先鋭化させながら強化し硬直化させていく流れ……。
永田洋子には持病からくる強い容姿コンプレックスがあり、『美に対する強烈な嫉妬』となったと。ソレが『総括という殺人指令』の動機である。粛清対象が主に美しい女性だった事が何とも哀しく、俗的な女の衝動であることを物語る顛末…。
しかし『革命トンネルの中』でみせられる風景(トンネルビジョン)とエコーチェンバーによって彼女の指令は構成員達に取ってはスターリンの粛清命令ほどの威力を放っていたんだと想像出来る……。
人生は過ぎてしまえば何事も…泡沫(うたかた)の夢?なのかも知れない?
だからこそ、『自分の心のリテラシー』って奴を確立しておきたいね?と強く感じるのです。
宇宙までを包含する自分の心のトンネルの中で目一杯、『自分ビジョンを貫き生き抜きたい!』改めてそう思った次第です。