サンチョパンサの憂鬱

僕達の失敗

高校教師の主題歌『僕達の失敗』を歌った森田童子の事をふっと思い出した……。散々若い時分の『僕達の失敗』を昼間に喋ったからだろうなぁ……。

経歴を見るとやはり学生運動の匂いのする女性であるが殆ど学生運動の末期に多感な高校時代を送ったと思われる。彼女も学生運動には遅れて来た少女だったんだろうと思う。

謎多き彼女の事を調べると……東京出身。高校時代東京教育大(現在の筑波大学)の学生運動と接点があったと……。

友達の同級生が学生運動で逮捕されたのを切っ掛けに自分は退学する。
繊細にして真面目な性格だと窺える。

恐らく友の逮捕に、自分も共同責任を感じたのか?……自分にも何かのペナルティを与えなきゃフェアじゃない!……そんな動機だったのかも知れない。

僕達の失敗……は1962年発表された石川達三の小説の表題から得たのかもね?と思った。

団塊世代の直後の世代。
ラジカルな時代の空気が終焉を迎えつつあった。
若者は、熱い思いの持って行き場を失いつつあった時代だ……。

器用に変われない自分の思いをずっと抱え続けた人なんじゃないか?と漠然と思う。何故か?そう感じるのである。

66歳という若過ぎる死だけど……それを思う時……それでもそこが……なんとか彼女が命を全う出来る限界?だったのかなぁなんて感じるのである。

高橋和己、柴田翔、石川達三……そんな作家達の名前……学生運動の熱と挫折、無力感、ヒヨッタ自分の後ろめたさ……。

そんな時代に残り香の様に漂う若者達のエネルギーの余熱。
気紛れな世間は豊かな経済に向かう事に舵を切り始めた時代……。

熱く語った革命の夢……私は生き残り挫折していった友……『僕達の失敗』だったか?……。
彼女、二十歳の時に知人が死んだことを切っ掛けに唄い始めた……とあった。

彼女よりほんの少し下の年代の僕は……相反する『処理不能の想いの残骸』の処理に悩んだ彼女のジレンマがとてもよく理解できる。
ピュアはそうやってその持ち主を苛むのである。

どうしても消えない『想いの錨』を引き摺りながら歌う事しか出来なかった彼女の人生を僕は……天晴れ!と称えたいと思うのです。
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