日向
ずい分長い間 不安に乗じて 権威者のふりをした 腹話術のような 多様な声が 問題の核心を覆っていたが 偽りに辟易した人たちに 隠せなくなった ...
晩秋
昔通った道 郷愁に駆られ 陽だまりを追っていると 大きなログハウスがあった 木々に覆われ 花壇の間で 子猫が楽しそうに戯れる ...
彼岸&飛翔
子どもたちが家に泊り 翌朝 『父さん・・ 父さんの知った人で 器具で声を出している人いる』 「知ってるよ Sさん」 『あ、そう・』 それで話は終わり? (実...
月
わたしは今 あなたを 自分の命のように おもっています すべてを 捧げても よいほど あなたも そうでしょう? ...
王の庭で
ある小さな国でのこと お后が亡くなり 王さまの悲しみが癒えず ついに床に臥してしまいました そこで大臣たちは一計を案じ 庭を新しくすることにしました お后が好きだった花...
手
ぐいと 月を押すように 手をかざすが 光はなく 豪華な指輪も 色褪せ 小鳥を呼んでも とまらず 少し触れただけで 男(ひと)を惑わした魔法も すでに滅んだ だ...
錯覚
ある日 見慣れた海が 初めて観たように輝いた 道端に咲いた小さな花を 摘んで帰ろうとしたり 仕事帰りの夜道の空 満天の星を見上げ ヨオシ 明日もがんばるぞと 声を...
川沿い
山村の豊かな 川の流れが 淀み(よどみ)となり 浅瀬で波打ち下る光景を 季節の残像のように ぼんやり追っていたが 粗末な身なりの女がひとり 川沿いの道を 大きく重そ...
ロスト
人が進化の頂点にいるなんて 嘘だろう 外からは見えないが 其の実 常に企み 恐竜よりもでかい口で 貪ることしか考えず 魂は 不満と損得に病み 気高さも 美...
決して忘れない日
窓の外は雪がチラチラと舞っていた あの日もこんな寒い日であった 戦時中、母は婦人会の会長をしていたが 山口の...