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舞鶴場所での救命救急処置

2018-04-07 11:32:47 | 記録
1)土俵で救命に当たった女性の初期対応、医師が絶賛「相当トレーニングを積んだ方と思われます」
HUFFPOS 日本版T4/6(金) 12:26配信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180406-00010002-huffpost-soci

京都府舞鶴市で開かれた大相撲の巡業で、土俵で倒れた多々見良三・舞鶴市長に心臓マッサージをしていた女性たちに、「土俵から降りてください」と求めたアナウンスが物議を醸している。朝日新聞デジタルによると、女性は看護師だったという。(錦光山雅子 / ハフポスト日本版)

女性が蘇生にあたる様子を撮影した動画はこちら

日本救急医学会の「ICLSコース」ディレクターで、昭和伊南総合病院麻酔科診療部長の大房幸浩さんは、YouTubeに投稿された、現場の様子を伝える動画に映った土俵上の様子から、中心になった女性がとった初期対応を検証、自身のFacebookで公表した。
ICLSコースは、突然の心停止など、緊急性の高い事態になったときの適切な初動とチーム蘇生の技術を習得するための講習で、大房さんは、ディレクターとして心肺蘇生、1次、2次救命処置を医療関係者に指導している。

以下、動画から確認できる土俵上での大まかな蘇生の流れだ。

3秒  女性Aが土俵に上がる

21秒  女性Aが周りの人をかき分ける

23秒  女性Aが胸骨圧迫(心停止した人の心臓のあたりを両手で圧迫して血液の循環を促す)開始。女性Bが到着

27秒 女性Aが周りに指示

43秒 女性C、Dが土俵に上がる

45秒 AED(自動体外式除細動器)が到着

47秒「女性の方は土俵から降りて下さい」のアナウンス

49秒 女性Aから女性Bに胸骨圧迫交代

56秒 女性Bから救急隊員に胸骨圧迫交代

69秒 救命バッグを持った救急隊員が土俵に上がる

70秒 女性A、Bが土俵から降りる

75秒 担架到着

76秒 胸骨圧迫が中断された様子(AEDの解析中と思われる。AEDは作動させた形跡がなく、その後は心肺蘇生も行っていないため、脈と呼吸が確認されたか、生体反応が現れたと思われる)

82秒 女性CとDが、土俵から降りる

117秒 「救急車呼びました」

145秒 救急隊員が瞳孔を確認している。(この時点では意識がなかったと思われる)

161秒 担架に乗せる

172秒 救命バッグ撤収

186秒 担架で市長を搬送。胸骨圧迫、人工呼吸は行わず

女性たちがあたった蘇生の様子について、大房さんはこう解説する。

「関係者が取り囲みながらも何もできずにいたところ(中心となって蘇生に当たった)女性Aが土俵に上がり、すぐに状況を把握し救命処置を行っています。たぶん、市長の意識はなく、呼吸は確認できなかったか、あっても死戦期呼吸(あえぎ呼吸)だったのではないでしょうか」

「胸骨圧迫のスキル、周りへの指示の的確さから、相当トレーニングを積んだ方であると思われます。胸骨圧迫の早さや強さは完ぺきで、救急蘇生のスペシャリストと考えられます」

「特記すべきは隣の人に時間確認の指示を出している様子がうががえること。確認したのは、心肺蘇生の開始された時間だと思います。救命のポイントは心肺停止から蘇生開始までの時間にかかっています。できるだけ早い方が良いのですが、実際救命処置を行っても記録に残っていなければ、果たして正しい蘇生が行われたか、後日の検証ができません。このため、蘇生の講習会では記録を残すよう指導しています。時間確認ができるのは相当冷静に対応していたと考えられます」

「AEDが到着し、女性Bに胸骨圧迫が変わりますが、ハンズオンリーCPR(人工呼吸をしない心肺蘇生)ならび胸骨圧迫交代のタイミングも文句のつけようがありません。経過を追ってみると、心臓疾患による急変ではないのがうかがわれますが、初期対応としては完璧です」

朝日新聞デジタルによると、実行委員会が5日、心臓マッサージの中心になった女性に感謝状を贈りたいと連絡したが、「当たり前のことをしただけ。そっとしておいてほしい」と固辞したという。


2)脳神経外科医が絶賛する「土俵で救命」女性の神対応 くも膜下出血の怖さとは?〈AERA dot.〉4/6(金) 19:57配信

京都府舞鶴市で4日行われた大相撲の春巡業。土俵上で突然、倒れた同市の多々見(たたみ)良三市長(67)に心臓マッサージをしていた女性に対し、若手行司が「土俵から降りてください」とアナウンスし、その後、大量の塩をまくなどの対応が痛烈な批判をあびている。

朝日新聞デジタルによると、土俵に駆け上がった女性は看護師だった。市長はその後、病院に運ばれ、倒れた原因はくも膜下出血と判明。すでに手術を終え、一命をとりとめているという。

「女性の救命措置がなければ、亡くなっていた可能性もあります。すばらしい対応ですね」そう絶賛するのは、小倉記念病院脳卒中センター長・脳神経外科主任部長の波多野武人医師だ。

「倒れた直後は、くも膜下出血かどうかわからなかったはずです。ただ、そうであってもなくても、意識を失っていて呼吸がなく脈が触れなければ、心臓マッサージが必要になります」(波多野医師)

くも膜下出血を発症すると、約3割が死亡し、助かったとしても約3割に後遺症が残るといわれている。働き盛りの40代から発症が増えるとされ、2010年、プロ野球巨人・木村拓也コーチが試合前の練習中にくも膜下出血で倒れて亡くなったのも記憶に新しい。意識障害を起こしている患者にどう対応するかが、大きなカギとなる。

くも膜下出血を発症すると、約3割が死亡し、助かったとしても約3割に後遺症が残るといわれている。働き盛りの40代から発症が増えるとされ、2010年、プロ野球巨人・木村拓也コーチが試合前の練習中にくも膜下出血で倒れて亡くなったのも記憶に新しい。意識障害を起こしている患者にどう対応するかが、大きなカギとなる。「くも膜下出血を発症すると呼吸が停止してしまうことは頻繁にあります。時間とともに蘇生の確率が低くなってしまうので、胸骨圧迫、いわゆる心臓マッサージはとても重要です。初期救急医療をしっかり理解している、正しい措置だったと思われます」

大相撲「女人禁制」の伝統は江戸時代から続くが、即座に土俵に駆け上がった女性の「神対応」に、八角理事長(元横綱北勝海)も「人命にかかわる状況には不適切な対応でした」と謝罪。「当たり前のことをしただけ」と女性は感謝状を固辞したというが、最近の相撲協会はいろいろ「当たり前」の感覚を忘れてはいないか。(AERAdot.編集部・井上和典)