叔祖父の上川名義雄は、仙台市小田原金剛院丁の祖父の家に泊まりに来ることがあった。祖父母が仙台市御立場町(現宮城野区東仙台1)の父母の家に移ってからは、我が家に泊まっていた。記憶によれば、出張の仕事を済ませ家に戻ってくると母が作った夕食に舌鼓をうって食べていた。いつもメヌケの煮付けを食べながら「公ちゃん、うまいね。」と言って、テレビのプロレス中継を眼を細めて見ていた。プロレスを見るのは、この時だけ、普段見ることはなかった。
その叔祖父の名前をネット検索したら、三つの資料が見つかった、
一つ目は、日本醸造協会雑誌 = Journal of the Brewing Society of Japan 36(1)-1941年(昭和16年1月)の「酒類公定價と之れが實行上の希望に就て / 上川名義雄 / 28 (0018.jpg)」。二つ目は、第001回国会 財政及び金融委員会公聴会 第1号昭和二十二年十一月十九日(水曜日)午前十時三十九分開議の出席公述人のなかに、三つ目は、第001回国会 財政及び金融委員会 第40号昭和二十二年十一月二十六日(水曜日)午前十一時三十八分開議の理事川合彰武氏の論述のなかで紹介されている。この資料は、現在の消費税やTTP等に関する論議とダブって今後の日本を作っていくための税制の基本を真剣に論じている点で注目すべきではないかと考えている。
戦後二年目の国会の公聴会での論述は、日本酒造組合中央會の常務理事として酒税の増税について「酒税の今囘の増徴がはたして適當であるかどうであるか。酒ははたして生活必需品なりや奢侈品なりやということをきめていく必要がある。生活必需品でありますれば、極力重課を避くべきであり、奢侈品であるならば、重課もまたやむを得ない從來からしばしば論議せられているのでありますが、未だに結論には達しませんで、結局ある部分は生活必要品てあり、ある部分は奢侈品である。兩面があるということになつているようである。今囘の増税案が、この消費面を通じまして奢侈的傾向を有する消費に對して増徴をしようという根據に對しましては、贊成せざるを得ない。現在の食糧下で酒の生産が少いながらも許されておるというのはよくよくのことであり、計畫的に生産されねばならないと存ずる。密造する者は米を持つておる農民でありまして、同じ勞務者でありながら一方では米を持たない炭鑛勞務者その他の重勞働者は重課せられた酒を飲んでおるというような状態であり、租税の負擔という點から申しましても非常に均衡を失しておる。農家より一定量を集めましてその數量に應じまして生産された酒を配給する。すなわちわれわれは俗に委託釀造することが最もいいのではないか。たとえば百萬石の酒の造石ができたといたしますと、特別の價格によらず普通の税率によりまして四百九十八億、特別の用途に向けまして加算いたしますと四百九十八億の増收を得られることになります。こういう方法で消費者の需要を充たし、併せて税の増收をはかることにいたしたいと存ずるのであります。かような意味合におきまして、今囘の統制といたしましては、増税もやむを得ないのではないかと存じます。」とのべている。
また、財政及び金融委員会で理事川合彰武氏は、前述の叔祖父の発言をひいて「先般の當委員會の公聽會におきまして、日本酒造組合中央會の上川名義雄君が、密造酒が二、三百萬石ある、これらに對して合理的な方法で行うならば、もつと酒税の増收が見こまれるということを言われておつたのでありますが、大藏省の見地からいたしまして、密造酒というものをどの程度に見ておるか。またこれを合理化して酒税の増收を期することが考えられないかという點、これが一つ。
もう一つは來る一月に申告に基くところの所得の決定が行われることになつておるのでありますが、これがもし非民主的なそしりを免れないような所得の決定をいたしますならば、ひいてまた滯納を加重するということになるわけであります。われわれはこの申告制のとられる前におけるところの所得税調査員――これは地方のボスというものを發生して、その非合理的な點を認めざるを得ないのでありますが、申告制に加味してもう少し民主的な方法によるところの、所得決定に參與ずる方法が考えられないかどうか」と述べている。
戦後の混乱した財政を立て直すための税制のあり方について、真摯な論議がおこなわれていたことが、この資料からも分かるのである。
その叔祖父の名前をネット検索したら、三つの資料が見つかった、
一つ目は、日本醸造協会雑誌 = Journal of the Brewing Society of Japan 36(1)-1941年(昭和16年1月)の「酒類公定價と之れが實行上の希望に就て / 上川名義雄 / 28 (0018.jpg)」。二つ目は、第001回国会 財政及び金融委員会公聴会 第1号昭和二十二年十一月十九日(水曜日)午前十時三十九分開議の出席公述人のなかに、三つ目は、第001回国会 財政及び金融委員会 第40号昭和二十二年十一月二十六日(水曜日)午前十一時三十八分開議の理事川合彰武氏の論述のなかで紹介されている。この資料は、現在の消費税やTTP等に関する論議とダブって今後の日本を作っていくための税制の基本を真剣に論じている点で注目すべきではないかと考えている。
戦後二年目の国会の公聴会での論述は、日本酒造組合中央會の常務理事として酒税の増税について「酒税の今囘の増徴がはたして適當であるかどうであるか。酒ははたして生活必需品なりや奢侈品なりやということをきめていく必要がある。生活必需品でありますれば、極力重課を避くべきであり、奢侈品であるならば、重課もまたやむを得ない從來からしばしば論議せられているのでありますが、未だに結論には達しませんで、結局ある部分は生活必要品てあり、ある部分は奢侈品である。兩面があるということになつているようである。今囘の増税案が、この消費面を通じまして奢侈的傾向を有する消費に對して増徴をしようという根據に對しましては、贊成せざるを得ない。現在の食糧下で酒の生産が少いながらも許されておるというのはよくよくのことであり、計畫的に生産されねばならないと存ずる。密造する者は米を持つておる農民でありまして、同じ勞務者でありながら一方では米を持たない炭鑛勞務者その他の重勞働者は重課せられた酒を飲んでおるというような状態であり、租税の負擔という點から申しましても非常に均衡を失しておる。農家より一定量を集めましてその數量に應じまして生産された酒を配給する。すなわちわれわれは俗に委託釀造することが最もいいのではないか。たとえば百萬石の酒の造石ができたといたしますと、特別の價格によらず普通の税率によりまして四百九十八億、特別の用途に向けまして加算いたしますと四百九十八億の増收を得られることになります。こういう方法で消費者の需要を充たし、併せて税の増收をはかることにいたしたいと存ずるのであります。かような意味合におきまして、今囘の統制といたしましては、増税もやむを得ないのではないかと存じます。」とのべている。
また、財政及び金融委員会で理事川合彰武氏は、前述の叔祖父の発言をひいて「先般の當委員會の公聽會におきまして、日本酒造組合中央會の上川名義雄君が、密造酒が二、三百萬石ある、これらに對して合理的な方法で行うならば、もつと酒税の増收が見こまれるということを言われておつたのでありますが、大藏省の見地からいたしまして、密造酒というものをどの程度に見ておるか。またこれを合理化して酒税の増收を期することが考えられないかという點、これが一つ。
もう一つは來る一月に申告に基くところの所得の決定が行われることになつておるのでありますが、これがもし非民主的なそしりを免れないような所得の決定をいたしますならば、ひいてまた滯納を加重するということになるわけであります。われわれはこの申告制のとられる前におけるところの所得税調査員――これは地方のボスというものを發生して、その非合理的な點を認めざるを得ないのでありますが、申告制に加味してもう少し民主的な方法によるところの、所得決定に參與ずる方法が考えられないかどうか」と述べている。
戦後の混乱した財政を立て直すための税制のあり方について、真摯な論議がおこなわれていたことが、この資料からも分かるのである。