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定礎の歴史

2021-08-09 17:44:06 | 記録
 建築を立てる時の埋め物あるいは高層建築物の定礎物の歴史は、約5,000年前のメソポタミア のシュメール人の習慣が受け継がれている。シュメールの人々が暮らしていた土地には豊富な泥があってこれで泥レンガを作り家を建て、神聖な神々を祀る神殿を建てた。行政文書や法律、神話、商用文書なども泥を活用した粘土板に楔形文字を書記が記述した。しかし、その後、国家間の興亡があり、長く使われなくなっていた楔形文字を解読する作業が続けられ、現在は「文明の誕生」は、シュメールからということが認識されている。数学についても、幾何学や代数、分数、円周率などを駆使していたことが分かってきた。
 私たちが八百万の神を奉り、様々な仏に化身する仏教の受容もこのような国民性に由来するを考えられる。全ての物事にはそれを司る神聖な存在が関与していると信じ、何事を為す時にも祈りを捧げるのだ。
 建築物は、土の上に建てられるので地母神の安らぎを得るため埋め物とともに起請文を捧げる。
 
 

鎮壇具について

2021-08-03 14:29:51 | 日記
 東大寺や興福寺の堂宇の地下埋設に埋設されている鎮壇具は、その源流を古代メソポタミアのシュメール人の土製釘人形や銅製釘人形の求めることができ、その地鎮の願いが近代の家屋新築のおりの建前の鎮め物やビル建設時の定礎の埋め物に連綿と受け継がれています。
 土製釘人形は、土に埋め込まれ表面に施された美しい文様が後に多用されるモザイクタイルの源流ともなっています。
 銅製釘人形は、楔形文字が使われなくなってその目的が分からなくなってしまっていましたが、1877年ラガッシュ市のギルス地区で発掘作業をしていたフランス隊がそれまで実在が疑問視されていたシュメール人の存在を実証し、1960年代末に米・メトロポリタン美術館とニューヨーク大学美術史研究所の共同チームがラガッシュ市のラガッシュ地区を発掘した時に銅製の釘人形が出土しました。そのうちの2体が日本にやってきています。1体は東京国立博物館にもう1体は出光美術館に所蔵されています。
 出光美術館に所蔵されてい銅製釘人形は、出土時の状態のままで錆のある状態ですが、土中に埋納されていたことが充分に理解できます。
 考古学分野にも科学的な分析方法が援用されるようになり、遠い昔の人々の願いや暮らしぶりが分かるようになってきています。
 ユダヤ教から分岐した唯一一神教のキリスト教やイスラム教には、様々な神々に祈りを捧げるということはないので、シナゴークや教会、寺院の建設時に埋納物を捧げることはないようです。