内容紹介
イタリアの小さな町に暮らす少年ユージ。
フルートとの電撃的な出会いから5年。 ユージは岐路に立たされていた。
本気でめざしてもプロになれるのはひとにぎり。
クラシック音楽界の厳しさを目のあたりにしたユージの決断とは……?
一つの楽曲をどのように表現するのかという芸術観を少年たちが模索し、
自分の限界を知り、それを越えていく。
そんな彼らがオーディションに果敢に挑戦していく爽やかな青春小説。
「本気でなにかに向き合ったことのある人たちは、強いです。
彼ら特有の集中力や粘り強さは、たとえその道で成功せずとも、
必ずほかの道でも役に立つと信じています」(作者あとがきより)
感想
順位がつくコンクールではなく、オーディションの連続。
選ばれる者とそれ以外の者。その違いは“才能”だけではない。
熱意であり、覚悟である。十代の若者たちが自分の道を見つけようともがく。
10歳でフルートを始めたユージ。思い通りの道に進んでいるのに、ちっとも嬉しくない。
演奏するとか、吹くとかじゃなくて、「こなす」になる状況から脱することはできるのか。
マエストロ:マロウ・ビーニとの出会いをきっかけに変わっていくユージが眩しい。
多くの人に支えられ、ユージが一歩一歩、自分の道を進んで行く