甘い人間

本★ときどき★パン

コゴロシムラ 木原音瀬

2019-11-11 18:28:08 | NetGalley


木原音瀬さん、新境地のホラーミステリーです。
この小説の最大の推しポイントは、冒頭のオカルト的な「謎」が、すべて解明されるところにあります。
読まれた方、とにかくラストのネタバレだけは絶対にしないでくださいませ!!
 ――担当編集者より


内容紹介
祟りと因縁が渦巻く、ホラーミステリー
かつて産婆が赤子を何人も殺した村で、 尋常ならざる夜が始まった――。

カメラマンの仁科は、雑誌の取材のため、ライターの原田と山深い神社を訪れた。
が、篠突く雨が降る夕暮れ、携帯が繋がらない山道で迷い、おまけに原田は足を捻挫してしまう。
ようやく古い民家に辿り着き、老婆の厚意で泊めてもらうことになったが……。
仁科は、コゴロシムラと呼ばれるその村で、出口のない恐怖に晒される。

人間同士の切なさもどかしさを描いて並ぶ者なし、の名手が新境地、ホラーミステリーに挑む!


感想
ホラーだ、ホラミスだと煽っているが、恐がりでホラー読みたくない派の私でも読めた。
内容紹介が大げさ。怖さ成分は1%程度。別の意味での怖さは感じたが...

舞台は四国の小谷西村 通称「コゴロシ村」。
《この村は呪われちょるけんね》猟師の家で人が次々と亡くなる。
そして、新生児に先天性の障害が多いのはなぜ?
これが物語の柱でネタバレ要素。

村に家は一軒しかない。外部から完璧に遮断された「山王さん」の家。
住み込みで家の世話を任されている老婆とその家に住む先天性両上肢欠損の青年:新(あらた)とその兄。

「ぼくは神さま」と無邪気に話す新が幼稚でひたすら美しい。

「にしな、ほてのこと すきやろ」
「すきになっても しかたないわね。ほて、神さまやし、きれいやけんね」

ファムファタル(男だけど)っぷりが見事。
強烈なまでの自己肯定感に、こういう育てられ方もアリかもと納得しそうになるが、いやいや、これって監禁だよ、だめだよ。

BL界の芥川賞!作家 木原音瀬作品にうっとり。