江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

アメリカによるウクライナへの「クラスター爆弾供与」は許されない

2023-07-12 | 随想
ウクライナ政府が対ロシアへの反転攻勢のためにアメリカに対して弾薬の供与を求めたのに対応し、クラスター爆弾を供与すると表明したアメリカ。

この爆弾は「悪魔の兵器」とさえ呼ばれるもので、一個のクラスター爆弾が発射されると空中で数百個の小爆弾となって広範囲に飛び散り被害を与える。
一発のクラスター爆弾でサッカー場30面ほどが焦土と化す、極めて殺傷能力の強い非人道的な殺人兵器である。
さらに、地上で爆発しないまま残ると、まるで地雷のような不発弾となってしまう。

人権団体などは、このクラスター爆弾の使用は戦争犯罪に匹敵するとも言っている。


こうした兵器であるが故、クラスター爆弾を禁止するため、2008年に「クラスター弾に関する条約」が調印され、現在、世界111ヵ国が批准して加盟している。
その内容は、クラスター弾の使用、開発、生産、取得、貯蔵、保有及び移譲並びにこれらの活動を行うことについて援助、奨励及び勧誘を行わないことを定めている。

日本政府も2009年に批准/加盟している。

今回、アメリカが「ウクライナへのクラスター爆弾の供与」を表明したのを受けて、西側諸国がすぐに反応した。

イギリスのスナク首相は、「イギリスはクラスター爆弾の製造と使用を禁止し、使用をやめさせる条約に署名している」と述べた。

また、スペイン国防相は、「この爆弾ではウクライナは正当防衛を実現できない」と述べた。
さらに、カナダ政府は「使用を支持しない」と表明した。


これに対し、同様に禁止条約に加盟している日本政府は、松野官房長官が記者会見で、「アメリカとウクライナ2国間のやり取りに関するものであり、わが国としてコメントすることは差し控えたい」と述べた。

クラスター爆弾の使用につながるアメリカの供与には明確に反対すべきなのに、例によって「コメントすることは差し控えたい」なる文言を呈したのである。
アメリカの言うこと為すこと、全てに反対を表明できない実に情けない、主体性のない日本政府。

アメリカもウクライナも、そしてロシアも禁止条約に加盟していない野蛮国家であると断言しても良い。
しかし、日本は加盟しているからには、明確に反対する義務がある。
コメントしないとは何事か!

アメリカと共にNATOに加入する国家であっても、先の国々は自らの意思表示を明確にしている。
これが民主国家ではなかろうか。

アメリカの言われるがままに防衛費を増やし、武器を爆買いする日本。
そして、アメリカの要望通りに沖縄をはじめ先島諸島の軍備増強を図る日本。

そこに住む住民の平和と安全を守るのではなく脅かす方向へ舵を切っている。

今回のクラスター爆弾も、それが使用されることへの想像力は持たないのであろう。
ただただ、アメリカがやるから文句は言えないのである。

何度となくこういった日本国家の姿を見せつけられた日本人民は、もういい加減に目を覚ますべきではないだろうか。

どこの国であろうが、誰に対してであろうが、人々を殺したり苦しめるものには反対しよう。
それが、平和を希求する民主国家の人民の在り方だと思う。



<すばる>

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