江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

地域の自治会活動で神社の清掃

2023-07-22 | 随想
地域の自治会活動は今、どこでも役員のなり手が少なく、存亡の危機に直面している所さえあるという。
私たちの地域もその例外ではない。

役員の輪番制が確立してるいくつかのブロックに助けられ何とか維持している我が自治会に対し、隣接する自治会では1500世帯程あるにも関わらず役員はほんの数人で切り盛りしているようだ。

この自治会は地域内に歴史ある神社を抱えているのだが、その維持管理に当たる氏子たちの高齢化に伴い、自治会がかわってその任務を果たしているようだ。

この状況を見て、必ずしも力量があるわけではない我が自治会が地域の神社を維持すべく清掃活動に参入することにした。


私たちの自治会はサラリーマン層が圧倒的に多く、昔からの土地っ子は少ない。
もちろん、地区内に氏子が存在するような神社もない。
しかし、地理的には先の神社がまるで地域内にあるかのようにくっ付いており、日頃から親しみのある神社でもある。

今までにも地元の自治会と共同で神社の祭礼時には、子どもたちにお菓子を配ってきた実績がある。

今年はその祭りが4年ぶりに開催されることになった。
そこで、その準備活動として毎月2回の境内の清掃活動に参加することにしたのだ。

土曜日の朝9時からという貴重な時間帯のため、現役層は容易に参加してくれない。
主力はいつも高齢者ばかりだが、皆さんとっても働き者で仕事の手際も良い。


6月30日の宵宮と7月1日の本祭り(浅間神社の系列にある私たちの神社は「山開き」のこの日に決まっている。)は、久し振りとあって大いに盛り上がった。
私たち自治会では事前にお菓子券を配布し、祭りにやって来た子どもたちに券と引き換えに袋詰めされたお菓子を配った。
「ありがとう!」と喜ぶ子どもたちの笑顔に配る大人たちも満足気だった。







さて、例祭が終わり少しはのんびりできるかと思ったら、とんでもない。
草は伸び、葉は常に落ちるのだ。

そんなわけでこの日も蒸し暑い中、いつもの高齢者集団は出動したが、神社に着いて驚くことがあった。
若いお父さんと共にやって来たのは小学校一年生の子とその弟、そして弟の親友と合わせて子どもたち3人が来てくれたのだ。

祭り前にも他の子どもたちが来てくれたが、今回の子たちもやる気満々。
仕事は主に落ちた木の枝や落ち葉を集めるのだが、ただ素手でやるより興味の持てそうな熊手を与えた。

すると、面白くなったのか休むこともせず、ずっと落ち葉をかき集め、集まると大人のやり方を真似てチリトリを使って拾い上げ袋に詰める。
幼い子どもだとたかを括ってはならない。

彼らは面白さも手伝ってか、完全に役立つ仕事をしてくれた。
実にアッパレである。
そして、この子たちを連れて来てくれた父親もアッパレである。











毎月、回覧板や掲示板に神社清掃の案内を出して宣伝している効果が表れたとも言える。



元を辿れば本家本元の人手不足から始まったことではあるが、こうした形で我が自治会も貢献できて嬉しい限りだ。


私はひょんな事から会長になってしまったが、やるからには一定のビジョンを示した。
その一つが「参加型自治会活動」である。
もう一つは、様々な行事を通して地域の人々が知り合い顔見知りになることがコミュニティー作りに欠かせないものと訴えた。


今回の活動を見て、私はさらに一歩前進と考えることにした。

自治会の在り方について社会的には様々な考え方もあるだろう。
「そんな行政の下請け機関に協力する必要はない」というのももっともな考えではある。
現に、私が会長名で市のいくつかの機関に質問や意見を述べても、その都度真摯に受け止めていただいている。
背景には行政の末端下請け機関として、ボランティア的に活動していることを職員たちは認識しているからであろう。


「地域の改革を自治会活動で・・・」などと大それたことを言うつもりはないが、これからも、この地域に住み続けるならば、今回の様な活動も一定の意味があるのではないだろうか。
乗り掛かった船ならば、もう少し先まで航海してみようと思う。



(この文は先に『郷土教育全国協議会』ブログに筆者が投稿したものを基に加筆した。)



<すばる>


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アメリカによるウクライナへ... | トップ | 日本政治のファシズム化を許... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

随想」カテゴリの最新記事