
岡田淳さんといえば、「ようこそ おまけの時間に」「や「不思議の時間割」などのファンタジーで知られる児童文学の作家である。
たしか、小学校3年の国語教材にも「消しゴムころりん」が取り上げられていたので、ご存知の方も多いだろう。
学級担任をしていた頃、教室の片隅に学級文庫をおいていた。
「モモ」や「果てしない物語」などミヒャエル・エンデの作品。
角野栄子さんの「魔女の宅急便シリーズ」。
手塚治虫の「火の鳥」など。
結局のところ自分が読みたい本を並べていた。
その中に岡田准さんの作品もあったのだ。
生き生きとした子どもたちの会話やいかにも学校で起こりそうな事件とそこからの思いもよらない展開など、魅力は尽きない。
先日、たまたま古本屋(正確にはブックオフだ)で「図工準備室の窓から」を見つけて著者を見ると「岡田淳」となっている。
初めにを読んで「あっ」と思った。
なんと、岡田さんは、作家を続けながら神戸で30数年にわたって図工専科をしていたというのだ。
この頃は、脳細胞が老化して、本の一気読みができなくなっていたが、この本は別だった。
作家デビューのきっかけが、2年生の担任に「お話の絵」の「お話作り」を頼まれたこと。
欠席した6年生の代わりに、組体操と騎馬戦に出場した話。
アーサーランサム全集を子どもに勧めた後日談。
などなど、面白い話が満載である。
しかも、図工という強化を通しての子どもの見方、同僚とのつきあいなども語られている。
しかも、神戸といえば「阪神淡路大震災」の当事者でもある。
避難所として住民を受け入れた学校の様子やそこからどのように日常を取り戻していったかについても書かれている。
しかも、ユーモアあふれる語り口で。
展覧会シーズンの今、おすすめの本である。
-K.H-