江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

バカンス前のフランス学校事情

2020-07-04 | 随想
フランスに住む娘(小二の女の子の母親)から、最近のフランスの学校の様子について知らせて来ました。
地域によって若干の違いはあると思いますが、7月の第1週で学校は1年間の教育課程が修了します。
もっとも、日本の様な儀式的なものは一切ありませんが、昨日の金曜日をもってフランスの子どもたちは学校から解放され、2ヶ月近い夏休みに入りました。

日本のように夏休み短縮とか土曜授業など全く考えられません。
中には子どもの学力を危ぶむ声もあるようですが、だからと言って授業時数確保にピリピリすることもないようです。

大人だって大半は仕事よりバカンスを何より大切に考えているようですし、政府もコロナ禍で疲弊した人々に活力を与えるべく様々な支援策を講じているようです。

私の孫娘に至っては、今年は日本へ行けなくなったこともあり、国内の親戚が住む地方(カンヌ)へのバカンスの旅を4月頃から楽しみにしていました。
毎日のように持っていく物を考えたり、テレビ電話ではその話がずっと中心でした。

コロナ休校の間は毎日学校からメールで送られてくる課題や、インターネットで公開されている関連学習等はしていたようですが、当然ながら不十分な学習だったと思います。

私はこんな孫娘とほぼ毎日のように、テレビ電話で2時間ほど付き合わされました。
日本語の学習(主に漢字の読み)や遅れている算数の掛け算の学習をさせようと努力したものの、彼女の態度は非常に不真面目で、すぐふざけたり遊びの方向へ行きがちでした。
それでも、我が家の孫息子のように外で近隣の子と遊ぶことさえ出来ずほぼ自宅に缶詰め状態(厳しく外出が制限されていた)であることを考えると、「まあ遊びでも仕方ないか」と諦めて彼女にダラダラと付き合ってきました。
お陰で、日本語を忘れることなく済んだかな…、少しは良いこともあったかな…と思うことにしました。

そんな彼女は早速今日から母親や祖母たちとカンヌへ向かったようです。

以下に、娘からのメモによる報告を掲げます。
決して満足はしていないようですが……。


バカンスが始まる二週間前(6/22)から全国の子どもが学校に戻るのを義務にした。

最初は教室内の生徒間隔が4㎡から1mに減らされたけど、それだと全ての学校が全生徒を受け入れられなくなるからそれも直前に緩和された。

娘は6/8に学校に戻ったけど(その頃はまだクラスを半分に分けてた)、同じくその日に戻った子が4人いて合わせて14人と言っていたから、クラスの大半がその週に戻った感じ。

娘はいつも私と喧嘩しながら勉強してたから、学校から戻ると、学校で勉強する方がいいって。
今まで遊びが制限されていたせいもあって、学校に行くのが楽しいと言ってる。

授業は特に急いでる様子もなく、義務化に戻ってからも登校の時刻は通常の8h30〜8h45ではなく8h30〜9h00で、下校時間も全校生徒の半分が通常より15分早めにさせて、できるだけ密集を防ぐようにしている。

朝と昼は毎日校門に校長先生が立っている。(通常は下校時だけだった)
月曜日と木曜日は子どもたちは手ぶらで下校。(毎週水曜日は休校で週4日間登校)
家と学校の間での物の行き来を抑える目的だそう。
だから宿題もなし。

週末は一応ノート類を少し持って帰ってきていたけど、見直すだけでいい、と宿題なし。
娘は見直しさえしてない。

バカンスが近いからか、授業はさらにのんびり。
先週から週1の体育が週2になり、今日は授業中にピノキオを見たっていうし、マドレーヌやお菓子も食べたそう。

通知表はもう出てるのに先生は忙しい? といっても通知表も、今学期はノーマーク。ただ先生の一言だけ書かれていた。

夏休み二週間前から学校は義務化には戻ったけど、普段どおり早めにバカンスに行く子どももいるし、それが普段どおりに許されている。
こんな様子だから勉強は遅れているんだろうね。



最後に付け加えますが、例年のような飛び級や落第は今年はなく、どの子も夏休み明けの9月からは次の学年に進級します。
落第候補生(新学年開始前に追試の機会が設けられている)は、夏休みにバカンスどころではなく勉強が待っているわけですが、今年はどの子も安心してバカンスを楽しめることでしょう。

<すばる>

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