江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

子どもの新聞投稿記事から考える

2021-12-19 | 随想
「主権者教育」が、その内実を問われざるを得ない状況になっている今日です。

18歳選挙権が話題になった頃は文科省も学校関係者も慌ただしく動きましたが、その後の展開は怪しいものになっていきました。
政治に関して若者が抱く思いが様々であるのは当然ですが、
相変わらず選挙の投票率が低かったり現政権や保守政党に支持が集まりがちな現象を見るにつけ、
いったい学校現場で彼らはどんな学習をしてきたのか問いたい気持ちです。

もしかしたら、私たちは学校現場に「主権者教育」を任せきりだったのかもしれません。
学校も社会の一部であることを考えれば、社会の責任も問わなければなりません。

そこで、私が2019年にある所に書いたある文章をもう一度このブログにも掲載しようと考えました。
まず、子どもの感性ってどんなものなんだろう・・・という視点から考えてみたものです。


2/15付東京新聞の発言欄は若者の声を特集しています。
中学生2人の意見を紹介します。(写真参照)






2人とも、自分の生活経験から感じた自分なりの考えを述べています。
下村さんの主張は、「改正入管難民法」を、大人には容易に想像力が及ばないような視点から考えているのが新鮮でした。
また、大山さんは、自転車の走行に関しての法令を、現実に照らし合わせて問題点を指摘しています。

これらは良い例ですが、概して子どもたちは素直に実社会を見ています。
ある意味で純粋と言われるほど邪念がありません。
この感性を持ち続け社会をより良く変える力にしてほしいと思います。

ところが現実は往々にして、彼らの心を打ち砕き踏みつぶすような営みが少なくありません。
私たち大人は、あらためて自分の胸に手を当てて少年時代の感性が鈍っていないか問い返すべきでしょう。

また、こうした主張が基になり、「自分の意見が現実の社会を変えることが出来るんだ!」という実感を彼らが持てたら、
いっそう力強く成長していくことでしょう。

「子どもの権利条約」の精神に則り、大人社会は彼ら若者が自立して思考・行動できる環境を整える必要があります。


このような瑞々しい感性のこれっぽっちもない安倍晋三を中心とした政府には全く期待できませんが、
地域や地方自治体に少しでもまともな受け皿があれば子どもたちは成長し、地域自体が活性化することは間違いありません。

伝統やしきたりばかり押し付けていては悪循環が断てません。

学校教育で培われた若い感性こそ今、地域社会から国全体をより良く変える原動力にしていくべきです。
そのために、子どもたち自身の生活現実から出発することを重視する教育が今、
学校教育の中で心ある教員たちの手によって進められています。

そう、生活現実こそ地域社会において営まれる行為そのものなのですから。

そしてこのことは、「主権者教育」の重要性を説くこの国の社会や政治全般からの要請であり、
社会的行為として子どもたち若者の存在と主張を大事にしていくことに他なりません。

(2019/02/15)


<すばる>

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1 コメント

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子どもの新聞投稿記事から考える (林 健)
2021-12-22 12:47:16
主権者教育が「学校」だけでは、不十分なのは確かでしょうが、日本の学校教育が若者の「低投票率」を生んでいるのは、確かでしょう。
先進国の中でもとりわけ投票率の高い国である「スウェーデンの社会科教科書を読む」という本が参考になると思います。
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